最新記事
NATO

ロシアとの戦争に備えて戦時体制に入ったNATO

NATO Has Switched to War Footing With Russia

2023年6月19日(月)13時24分
ブレンダン・コール

そうしたことからNATOは、戦力および兵站を増強するために加盟各国がまとめた数千ページにおよぶ機密文書を検証する予定だ。冷戦終結以降では最も詳細かつ大規模な検証だ。

また、NATO事務総長ストルテンベルグが5月に話した内容としてロイターが伝えたところによれば、こうした計画には、さまざまな地域を防衛するための軍隊の支援も含まれており、「どこに、何を、どのように配備するか」に関する詳細が提示されているという。これは、クリミア併合をきっかけに始まったプロセスを強化するものだ。クリミア併合後、西側の同盟国は、東欧に戦闘部隊を配備した。

ストルテンベルグは今年3月、ブルガリア、ハンガリー、ルーマニア、スロバキアに各1500人規模の4つの戦闘群を新たに配備すると発表した。

最初の一撃を受ける東部前線

狙いは、「NATOの東部における陸、空、海の戦力を増強し、あらゆる領域におけるNATOの態勢を強化する」ことにあるという。NATOはエストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランドには既に戦闘群を配備している。

「東部の戦闘群は前線であり、ロシアが攻撃してきた場合には、最初の一撃を受けることになる」とゴットモーラーは話した。「どこか一カ所、たとえばバルト海沿岸国をロシアが攻撃すれば、NATO全体を攻撃したことになり、NATO全体が即座に反撃するということを、ロシアにはっきり知らしめる」

ゴットモーラーによれば、NATOとロシアの戦争に関する計画は、ほぼ10年にわたる取り組みの一環だという。冷戦終結後、および911同時多発テロ後、対テロ戦争に重点を置いた体制を、再び対ロシアで強固なものに組み直す取り組みだ。

「2014年にクリミアが併合され、NATOとの境界付近におけるロシアの振る舞いが不穏になって以降、NATOはずっと、ロシアの攻撃に対して迅速に応戦し、自衛するための備えが必要になることを認識してきた」と、ゴットモーラーは言う。
(翻訳:ガリレオ)


ニューズウィーク日本版 トランプの大誤算
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年4月14号(4月7日発売)は「トランプの大誤算」特集。国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米原油先物が上昇、22年以来の高値 ホルムズ期限控

ワールド

イラン、湾岸諸国の橋や道路攻撃を警告 サウジ石油施

ビジネス

米国株式市場=まちまち、ホルムズ海峡期限控え交渉動

ビジネス

NY外為市場=ドル安定的、米・イラン交渉期限控え 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライナ軍司令官 ロシア軍「⁠春の​攻勢」は継続
  • 3
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命防衛隊と消耗戦に
  • 4
    米軍が兵器を太平洋から中東に大移動、対中抑止に空白
  • 5
    「王はいらない」800万人デモ トランプ政権への怒り…
  • 6
    【後編】BTS再始動、3年9カ月の沈黙を経て──変わる音…
  • 7
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 8
    5日間の寝たきりで髪が...ICUに入院した女性を襲っ…
  • 9
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 10
    「人間の本性」を見た裁判官が語った、自らの「毒親…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 3
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 6
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 7
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 8
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 9
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 10
    米軍が兵器を太平洋から中東に大移動、対中抑止に空白
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中