最新記事
自然

世界で2番目に「高い木」が発見される、「世界で最も深い峡谷」で...世界一はアメリカの「ハイペリオン」

Tree As Tall As Statue of Liberty Discovered In World's Deepest Canyon

2023年6月24日(土)13時11分
ジェス・トムソン
森の高い木イメージ写真

Thomas Wong/Shutterstock

<102メートル超のイトスギが発見された「ヤルツァンポ大峡谷」では、ほかにも90メートル級の巨木が続々と発見されている>

中国チベット自治区の峡谷で、高さ102.3メートルのイトスギが発見された。これはアジアで最も高い木であり、世界でも2番目の高さと見られる。

■【写真】102.3メートル! 発見された世界で2番目に高い木の威容/世界一高い木「ハイペリオン」

このイトスギは、北京大学の研究チームが、チベット自治区ニンティ市ポメに位置する「ヤルツァンポ大峡谷」で発見したもの。高さ約102メートルといえば、約93メートルの自由の女神像よりも高いことになる。なおヤルツァンポ大峡谷は「世界で最も深い峡谷」とされており、深さは平均約4.9キロ、最大で6キロに達する。

北京大学は、今回発見された木はヒノキ科オオイトスギと発表している。

また、この木は「ライダーセンサー」を搭載したドローンを使って発見されたという。ライダーは、ソナーやエコーロケーションに似たものだが、音の代わりにレーザー光を使って周囲をマッピングする。研究チームは、ライダーによって集められたデータを使ってこの巨木の3Dモデルを作成し、現地調査の結果、アジア最大の木であることが確認された。

周囲には90メートル級の木が25本も

この木は、同じ研究チームが過去に発見した「中国で最も高い木」の記録を塗り替えた。チームは昨年4月、メトク県で高さ約77メートルの木を発見し、そのわずか1カ月後には中国南西部で高さ約83メートルのモミの木を発見していた。

この地域には巨大な樹木が数多くあり、今回発見された木の付近では90メートル級の木が25本も見つかっている。オオイトスギは野生では珍しく、ヤルツァンポ大峡谷にもわずかしか生息していない。中国では保護レベルが最も高い植物種の1つだ。

なお世界で最も高い木は、米カリフォルニア州のレッドウッド国立公園にある、高さ約116メートルのセコイアだ。2006年に発見されたこの木は、樹齢600〜800年と考えられており、「ハイペリオン」という愛称で呼ばれている。木と周辺環境を保護するため、詳細な位置は明かされていない。また2022年には接近そのものが禁止され、罰則が設けられている。

世界第3位は、オーストラリアの高さ約100メートルのナナカマドで、米オレゴン州の約99メートルのベイマツ、マレーシアの約98メートルのイエローメランチと続く。

北京大学の研究者らは、この地域のイトスギを長期的に観察して、分布密度、個体数、樹齢を調査する他、ヤルツァンポ大峡谷のさらに奥深くを探索し、生物多様性や未調査の樹木について調べたいとしている。


ヘルスケア
腸内環境の解析技術「PMAS」で、「健康寿命の延伸」につなげる...日韓タッグで健康づくりに革命を
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米、ナイジェリア上空で監視飛行 トランプ氏の軍事介

ビジネス

仏、政府閉鎖回避へ緊急つなぎ予算案 妥協案まとまら

ワールド

米大統領、史上最大「トランプ級」新型戦艦建造を発表

ワールド

韓国中銀、ウォン安など金融安定リスクへの警戒必要=
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    【外国人材戦略】入国者の3分の2に帰国してもらい、…
  • 6
    「信じられない...」何年間もネグレクトされ、「異様…
  • 7
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 8
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 9
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中