塹壕に手榴弾...11分間の劇的映像が捉えた、ウクライナとロシアのバフムート近郊での接近戦
Ukrainian soldier fends off Russian attack in incredible 11 minute video
バフムート近郊の前線でのウクライナ兵(本記事のビデオに登場する部隊とは別の部隊、2023年4月23日) Sofiia Gatilova-REUTERS
<「オークが塹壕の中に飛び込んできた」ヘルメットのカメラで撮影されたとみられるビデオが公開された>
ロシア兵との接近戦を繰り広げるウクライナ兵らの様子を捉えたとみられる劇的な映像が公開された。
映像はウクライナ軍の傘下にある義勇兵大隊「ダビンチの狼」の勇敢な戦いを撮影したものとみられ、長さは11分。
【動画】ウクライナ兵とロシア兵の接近戦を捉えた11分間のビデオ
冒頭には「ウクライナの『命の道』、バフムート(ウクライナ東部の要衝)の外に続く最後の道を守る」という説明が添えられている。この「命の道」とは、東部ドネツク州のバフムートに近いチャシブヤールに続く、ウクライナ軍にとって重要な補給路のことだ。
銃声が鳴り響き、離れた場所では煙が立ち上るなか、1人の兵士が塹壕に入っていく。この部分の映像は兵士のヘルメットに装着されたカメラで撮影されたものだ。彼は塹壕の中で待機しているほかの兵士たちに「どうした?」と声をかける。
カメラを回しているのは、おそらくこの分隊のリーダー。「ティヒー」というコードネームのこの分隊長は、仲間の1人が死亡したことを告げられる。分隊長が「安らかに眠れ」と言うと、仲間たちが返す。「そうだよ兄弟。戦争はこういうものなんだ」
その後、すぐ近くで手榴弾が爆発し、レカと呼ばれる兵士が吹き飛ばされてうつ伏せに倒れる。レカは自分は負傷していないと仲間に告げ、隊員たちは塹壕の外に出て反撃態勢を取る。
「オークは全員殺した。外で位置につけ」
映像が切り替わると、誰かが叫ぶ声が聞こえる。
「オークが塹壕の中に飛び込んできた!」(編集部注:ティヒーらがいる塹壕とは別の、近くにある塹壕からの無線)
オークとは『ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)』に出てくる怪物を意味する言葉で、ロシア兵を指す。映像にはその後、ウクライナ兵たちが飛び出し、敵に向かって発砲する様子が映っている。
兵士たちはほとんど援護がないなかで、進軍してくるロシア兵に反撃。塹壕の近くで反撃態勢を取り、敵を倒していく。「オークは全員殺した。(塹壕の)外で位置につけ」という声が聞こえる。
複数の地点で砲弾が爆発する。1人のロシア兵が塹壕に向かって手榴弾を投げ、それを受けて複数のウクライナ兵が発砲。ほかのロシア兵たちは、這うようにして逃げていく。1人のロシア兵が負傷したらしく、地面を転げまわる様子が映っている。
この映像がいつ撮影されたものかは不明だが、4月30日の時点でYouTubeで87万回視聴されており、見た人々からは、分隊長を称賛する声が寄せられている。
あるユーザーは映像のコメント欄に、「彼は即座に反応して動いている。その攻撃が敵の最初の突進を退け、彼はその後、仲間の兵士たちに適切な防御措置を取らせている」と書き込んだ。