一触即発の黒海で、米軍無人機に突っ込んでくるロシアの素人操縦士
NATO May Ramp Up Black Sea Presence After U.S. Drone Downed: Ex-General
墜落したアメリカ空軍のドローン「MQ-9リーパー」(写真はグアムの基地) SENIOR AIRMAN CHRISTA ANDERSON/U.S. NATIONAL GUARD
<ロシア空軍の妨害は、米軍にとって以前からこの地域の懸念事項だった。パイロットの腕前が危険なほど酷すぎるからだ>
3月14日、米軍のドローンが黒海上空でロシア軍戦闘機と衝突して落下した。北大西洋条約機構(NATO)はこの事件を受け、黒海でのプレゼンスを増強する可能性があるとの見方を元アメリカ陸軍大将のマーク・ハートリングが示した。
「これはおそらくロシア軍パイロットの大きなミスだろう。アメリカから、この一件を非難する声明と方針が発されるだろう。今後は、いかなるドローンでも単機で飛行することはなくなるはずだ。数時間以内に、米軍の航空機やNATOの航空機が、黒海でのプレゼンスを強化する可能性もある」。CNNに出演した際に、ハートリングはそう述べた。
ハートリングの発言の少し前、アメリカ欧州軍(USEUCOM)は、アメリカ空軍のドローン「MQ-9リーパー」が、ロシアの戦闘機「Su-27」と衝突して落下したと発表した。
「午前7時3分、ロシアのSu-27戦闘機の1機がMQ-7のプロペラに衝突し、米軍はこのMQ-9を公海に落下させる措置を取らざるを得なくなった。この衝突の前にも複数回、複数機のSu-27が(MQ-7に)燃料を浴びせ、MQ-9の前を無謀かつ環境への配慮に欠けるプロ意識に欠ける態度で飛行した。この一件は、安全への配慮とプロ意識に欠けているだけでなく、パイロットの能力の欠如を示すものだ」と、USEUCOMは声明で述べた。
アメリカ空軍大将で、アメリカ欧州・アフリカ空軍司令官のジェームズ・B・ヘッカーは、アメリカ空軍このドローンは「公海上で通常の任務を行っていた」とし、結果的にこのドローンを「完全に喪失」することになったと述べた。「ロシア機による、安全性とプロ意識に欠ける行動により、両方の航空機がもう少しで墜落するところだった」
ロシアとウクライナ侵攻以降、ロシアとアメリカの関係は悪化の一途をたどっている。
ハートリングは、本誌の取材に対してツイッターのダイレクトメッセージで回答し、自身がアメリカ欧州・アフリカ陸軍の司令官を務めていた2011〜2012年当時、アメリカ欧州・アフリカ空軍(USAFE)の将校たちとの間で頻繁に行ったミーティングで聞いた話を明かした。
「ある日、この戦域における懸念事項のリストや、自分たちの見解について議論していた時、USAFEの将官の1人が、『リストアップされていない懸念事項』の1つとして、ロシア軍による妨害があると、私に教えてくれた。ロシア側のパイロットの訓練がひど過ぎるのがその理由だ。『あまり腕のいいパイロットとは言えないので、いつか事故が起きるだろう』とのことだった。NATOの空域警備活動の一環として、航空機が継続的に警戒態勢にあるのにはれっきとした理由がある」
(翻訳:ガリレオ)
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