国際関係論の基礎知識で読む「ウクライナ後」の世界秩序
THE POTENTIAL FOR CONFLICT
その一方で、中国もリベラリズム世界とのデカップリングを図っている。例えば習は、欧米諸国に機密情報が漏れることを懸念して、中国のテクノロジー企業がアメリカの株式市場に上場することを禁じた。このように、紛争を防ぐバラスト(安定器)の役割を果たしてきた経済の相互依存は、今や失われつつある。
イデオロギー対立への回帰
民主主義は平和的な秩序をもたらすという理論は、民主主義国同士が協力し合う傾向を前提にしている。だが現代の国際システムの問題は、民主主義と独裁主義の間に断層線が生じていることだ。
確かにアメリカは今も、サウジアラビアなどの非民主主義国と友好的な関係を維持している。しかし国際システムは、アメリカやNATOや日本といった従来の秩序を維持したい民主主義国と、中国やロシア、イランといった修正主義的な独裁国家との間で分断されつつある。
社会構成主義者は、現在の国際規範には平和をもたらす効果があると言うが、そもそもこうした規範は万国共通なのかという疑念が常にあった。中国が新疆ウイグル自治区でジェノサイド(民族大量虐殺)を働き、ロシアが核の使用をちらつかせ、戦争捕虜たちに言語道断の虐待を働いているのを見れば、こうした規範が万国共通でないことは明らかだ。
習やプーチンの演説や著述は、イデオロギー的な表現を使って、独裁体制の優位や民主主義の欠陥を列挙することが多い。私たちは、民主主義体制と独裁体制のどちらが国民をより満足させられるかという、20世紀の対立に戻りつつある。
現代の国際政治を理解する最善の方法は、複数の理論を組み合わせることだろう。世界の大部分は自由主義的な秩序を好む傾向があるが、その秩序は、アメリカと民主主義同盟国の軍事力によって初めて実現・維持される。古代ギリシャ以来の歴史を見る限り、こうしたハードパワーの競争は民主主義の勝利に終わる傾向があり、独裁体制は悲惨な末路を迎える可能性が高い。問題は、正義に向けて歴史の舵を大きく切る瞬間は往々にして大国間の戦争の後に訪れることだ。
現在の大学1年生が卒業するとき、第3次世界大戦の始まりを振り返る事態にならないことを祈りたい。国際関係論を学べば学ぶほど、世界には懸念すべき材料が増えるのだ。
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