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ウクライナ戦争

授業で「反戦」の絵を描いたロシアの6年生を教師が通報...父親は逮捕、本人は孤児院へ

2023年3月3日(金)17時48分
デーン・エネリオ
ウクライナ侵攻に反対するバナー

英ロンドンで行われたウクライナ侵攻に反対するデモ(2022年4月) Tom Nicholson-Reuters

<美術の授業で少女が描いた絵をめぐり、教師が警察に通報。鳥の飼育業を営む父親が逮捕されて独房に留置されている>

ロシアの6年生の少女が、学校の美術の授業で「反戦」的な絵を描いたことにより、シングルファーザーである彼女の父親が当局に逮捕された。娘本人は孤児院に送られたという。家族に近い筋が明かした。

■【画像】父親が逮捕される結果に...美術の授業で6年生の少女が描いた「反戦」の絵

奉仕活動家のエレーナ・アガフォーノワという人物が独立系メディアの「Spektr」に語ったところによれば、警察に身柄を拘束されたのは、ロシア西部トゥーラ州で鳥の飼育業を営むアレクセイ・モスカレフだ。

モスカレフの娘マーシャは小学6年生だった昨年4月、美術の授業中に反戦をテーマにした絵を描き、これを見た教師が警察に通報した。ロシアの独立系ニュースサイト「メドゥーサ」によれば、教師が生徒たちに指示していたのは、ウクライナに軍事侵攻を行っているロシア軍を「支持する」絵を描くことだったという。

この問題について、ロシア連邦保安局(FSB)と児童保護局が調査を行い、モスカレフはソーシャルメディアへの投稿でロシア軍の「信用を失墜させた」罪で起訴された。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は2022年3月に刑法を改正し、これによりロシア軍の「信用を失墜させた」者には、最大5年の禁錮刑を科すことが可能になっている。

モスカレフは1月9日に警察に出頭するよう命じられていたが応じず、娘を(それまで暮らしていた)エフレーモフ市から隣接するウズロバヤ市に移したが、その後、当局に逮捕された。

反戦の絵を描いた娘は孤児院に送られた

過去にシングルファーザーのモスカレフとその家族を支援していたというアガフォーノワによれば、当局はモスカレフの家の家宅捜索を行い、彼の所持金を全て押収したという。ロシアの人権活動家で反体制派のマリーナ・リトビノビッチも、メッセージアプリ「テレグラム」への投稿で、アガフォーノワの主張を裏付けた。

アガフォーノワは、彼女がモスカレフを自宅にかくまっていると信じる人々が、身元を明かさずに近づいてくると語った。彼らはアガフォーノワに自宅の中を見せろと迫り、彼女がそれを断ると、彼女の自宅のドアを破ると脅したが、警察に通報すると言うと去っていったという。

モスカレフは逮捕された後、ロシア連邦捜査委員会に移送され、以降は独房に留置されている。アガフォーノワによれば、モスカレフの弁護士は、3月2日に捜査活動が行われる見通しだと説明したという。

娘のマーシャは、青少年委員会が保護し、エフレーモフの孤児院に送られた。父親の処遇が決まるまで、あるいは疎遠になっている母親が見つかるまでは、孤児院で暮らすことになると報じられている。アガフォーノワは、マーシャを預かる用意があると言っている。

トゥーラ州ではほかにも同じような事例があり、プーチンが新年を迎えるにあたって行った演説の最中に、クラブでウクライナ人が作曲した曲を流した地元在住のDJは、同州の裁判所によって罰金刑を下された。

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