最新記事

ロシア

プーチン邸に防空システム配備、と報道。西側の長距離兵器を警戒?

Defense System Put Near Putin Home Amid Fear of Long-Range Attack: Report

2023年1月24日(火)15時44分
ジョン・ジャクソン

「パーンツィリ-S1」防空システム(2016年、モスクワ近郊の武器展示会で) Maxim Zmeyev-REUTERS

<今度はロシア人が攻撃を恐れる番? 主要政府機関の屋上に続き、プーチン邸の1つにも「パーンツィリ-S1」 防空システムが配備されたと報道>

ロシアの防空システム「パーンツィリ-S1」が最近、ウラジーミル・プーチン大統領邸の近くに配備されたと、ロシアの独立系報道機関が1月23日に伝えた。

2021年創設の調査報道サイト「アゲンツトヴァ(Agentstvo)」はテレグラムに、ロシア西部のノヴゴロド州にあるプーチン邸の近くにパーンツィリが配備されたというメッセージを投稿した。プーチンの家を守るために設置されたパーンツィリだという写真も付いていた。

1月19日以降、モスクワにある複数の主要政府機関の屋上に設置されたパーンツィリだとする写真や動画が拡散していた。ロシアの首都であるモスクワに防空システムを配備するこの動きは、2022年末にロシア領内の標的に向けたドローン攻撃が実施された後に起きたものだ。

アゲンツトヴァによれば、ノヴゴロド州に配備された防空システムも、数週間前、前述したドローン攻撃の直後に設置されたものだという。地元住民の話では、パーンツィリは迎撃体制にあり、少なくとも3人の兵士が配置されているという。

S-400地対空ミサイルも全土に

12月にロシア領内で発生したドローン攻撃について、ウクライナは関与を認めていない。ただし、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領率いるウクライナ軍は、アメリカからロシア領内に到達可能な兵器をさらに受け取る予定だと報じられている。

パーンツィリ防空システムは、対空機関砲とミサイルで構成されており、7キロ圏内に入ったミサイル、ならびに20キロ圏内の戦術航空機を迎撃する能力を持つ。アゲンツトヴァによると、ノヴゴロド州にあるプーチンの邸宅は、パーンツィリが配備された場所から6キロの距離にある。

パーンツィリがモスクワの政府機関の屋上に配備されていることを示す証拠がネット上で拡散すると同時に、地対空ミサイルシステム「S-400」もロシア全土で目撃されている。S-400は、最長250キロ先の標的を撃ち落とす能力を持ち、弾道ミサイルも60キロ先で迎撃できる。

ロシア政府報道官のドミトリー・ペスコフは1月20日、ロシアの戦略拠点にミサイル防衛システムが配備されたことに関して明言を避けた。防空システムの目撃情報について記者から質問が飛ぶと、ロシア国防省に問い合わせるようにと述べた。

アゲンツトヴァの記事によると、ノヴゴロド州の町、ヴァルダイにあるプーチンの邸宅は、同大統領の公邸の1つと考えられている。プーチンはこの建物を、親戚や友人、セレブなどをもてなすための別邸として使っているというのが定説だと、アゲンツトヴァは記している。

(翻訳:ガリレオ)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン大統領、トランプ氏にクリスマスメッセージ=

ワールド

ローマ教皇レオ14世、初のクリスマス説教 ガザの惨

ワールド

中国、米が中印関係改善を妨害と非難

ワールド

中国、TikTok売却でバランスの取れた解決策望む
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 3
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 4
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 5
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 6
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 9
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 10
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 4
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中