最新記事

人種差別

フライト中「人種差別に遭遇」──隣の乗客が侮辱的なメッセージを入力、その内容を撮影

Passenger Sharing Alleged 'Racist Encounter' on Flight Sparks Debate

2023年1月20日(金)16時40分
スー・キム
飛行機内

(写真はイメージです) mihailomilovanovic-iStock

<フライト中にメッセージを入力する隣の乗客──よく見たら「人種差別されていた」>

フライト中、「人種差別に遭遇」。その様子を収めた動画がTikTokで注目を集め、500万回以上も再生された。

【動画】隣の乗客が入力した「人種差別的メッセージ」の内容

動画の長さは10分。TikTokユーザーの@mizz_crizzyが投稿したもので、説明文には「初めて人種差別に遭遇」と書かれている。

動画では、カナダの航空会社大手・ウエストジェットのチケットを握る女性が、スマートフォンでメッセージを入力している。宛先は不明だが、その内容は隣に座る乗客に関してだった。

「私は窓の外を眺めている。隣2つの座席にはとても大きな、おめかしした黒人女性2人が座っている。そのうちの1人は非常に敵対的だ。私は彼女を困らせるために、とても愛想良くしている」

動画の中盤では以下のような声が聞こえる。

「私が敵対的?離陸中は荷物を座席の下に置いてくれと繰り返しただけだ」

女性はその後もメッセージの入力を続け、以下のようにつづる。

「トイレに行く時、障害があるという体で、別の座席を探してもらう」

すると今度はこのような台詞が聞こえてくる。

「心配しないで。協力してあげるよ」

この動画について問い合わせたところ、ウエストジェットの広報担当者はこう説明した。

「このような出来事があったのは確かで、状況把握のために全力を尽くしている。ウェストジェットにはあらゆる差別を許さないというポリシーがあり、従業員の行動全てにおいてインクルーシブであることを重要視。すべての人にとって安全でインクルーシブな環境を整えることを目標としている」

国際航空運送協会(IATA)が昨年12月に公表したレポートによると、ハラスメントや暴言を含む「手に負えない乗客による事件」は件数も深刻度も年々増してきており、マスク着用が義務となった際には著しく急増したという。

そしてIATAのデータによると、2017年には350件の痴漢行為、もしくは人種、性別、年齢に関連した差別行為が発生。同協会の広報担当者は本誌にこう語った。

「乗客にも乗組員にも、迷惑行為を心配せずにフライトを楽しむ権利がある。航空会社も乗組員も、人種差別を含む、あらゆるハラスメントに関する通報を深刻に捉えている。迅速に対応する上で、被害者による速やかな通報は欠かせない。対応は各航空会社で異なるが、まずは加害者への注意や座席変更がなされる事が多い」

なお事件が離陸前に起こった場合、加害者を飛行機から降ろしたり、警察に引き渡したりするケースもあるという。

@mizz_crizzyが投稿した動画には多くのコメントが寄せられた。「時間がかかりすぎ」とタイピングの遅さを茶化すコメントや、「こんなの狂っているよ」と投稿者に共感する声。また「おばあちゃんが不憫だ」と動画に映る女性に同情する意見もあった。

ニューズウィーク日本版 ISSUES 2026
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

JPモルガン、機関投資家向け仮想通貨取引サービス検

ビジネス

午前の日経平均は小幅続伸、利益確定が上値抑制 マイ

ビジネス

米国との貿易協定、来年早々にも署名の可能性=インド

ビジネス

為替、ファンダメンタルズ反映しているとは到底思えず
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    【外国人材戦略】入国者の3分の2に帰国してもらい、…
  • 5
    「信じられない...」何年間もネグレクトされ、「異様…
  • 6
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 7
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 8
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中