最新記事

中国

「感染しても医者に行くな」?──ゼロコロナやめた中国の暴論

China eyes return to normalcy in 2023 after ending zero-COVID policy

2022年12月15日(木)18時35分
ジョン・フェン

だが20年前に中国のSARS(重症急性呼吸器症候群)対策に奔走したことで名を上げた鐘は、これらの予測は2月に香港で感染が拡大した際の感染者数や死亡者数のデータを基にしていると指摘。当時とはワクチン接種率が異なるため、適切な予測ではないという。

鐘は、2月の感染拡大当時の香港では、60歳以上の高齢者のうちワ2回のクチン接種を済ませていた人は20%に満たなかったと指摘。それに比べて、12月8日時点では、70%近くが2回の接種を受けていると説明した。

中国の公式な統計値によれば、中国では60歳以上の高齢者の90%以上が、少なくも1回のワクチン接種を済ませている。しかしながら、同じ年齢グループの推定3700万人が2度目の追加接種を受けておらず、2800万人が一度もワクチン接種を受けていない。

中国政府は、欧米製のmRNAワクチンの承認を拒んだことで注目されているが、鐘は、欧米製であれ中国製であれ、どのワクチンも3回接種すれば重症化予防に同じ効果があると述べた。南方日報は、中国製の不活化ワクチンは「海外製のワクチンに比べて、感染予防の効果がわずかに低いが、副反応がより少なく、より安全だ」という鐘の発言を引用した。

医療崩壊を防ぐことが喫緊の課題

中国政府は、リスクを嫌う中国の高齢者に対して、感染拡大に先立って規定のワクチン接種を済ませるよう促している。感染は何ら恐れることではない、と国民を納得させるのは難しいかもしれない。

上海にある复旦大学付属中山医院の救急救命部門の責任者であるZhong Mingも、11日付の経済紙「第一財経」とのインタビューの中で、中国の新たな感染の波について、同様の見通しを示した。

Zohng Mingは、感染は1カ月以内にピークに達するだろうと予想。中国にとって最も差し迫った課題は、医療体制が崩壊しないように、治療を求める患者の流れを管理することだと指摘した。

「一定の期間内に大勢の人が新型コロナに感染し、多くの人が治療を求めて病院に殺到すれば、医療資源の分配がとてつもなく難しくなる」とZhong Mingは述べた。「だから私が常々強調してきたように、大半の人は病院にかかる必要はない」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、高市首相の台湾発言撤回要求 国連総長に書簡

ワールド

MAGA派グリーン議員、来年1月の辞職表明 トラン

ワールド

アングル:動き出したECB次期執行部人事、多様性欠

ビジネス

米国株式市場=ダウ493ドル高、12月利下げ観測で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 5
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 6
    「裸同然」と批判も...レギンス注意でジム退館処分、…
  • 7
    Spotifyからも削除...「今年の一曲」と大絶賛の楽曲…
  • 8
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中