「美しく、神秘的!」細長く伸びる潮汐尾でつながった「相互作用銀河」が観測される
ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた相互作用銀河「アープ248」 Image Credit: ESA/Hubble & NASA,
<「おとめ座」の方向約2億光年先にある相互作用し合う3つの銀河で構成される相互作用銀河「アープ248」が観測された......>
「相互作用銀河」とは、衝突したり近傍を通過することで重力の影響を互いに及ぼし合う複数の銀河を指す。地球から約2億光年先のおとめ座方向に位置する「アープ248」は、相互作用し合う3つの銀河で構成される相互作用銀河のひとつだ。欧州宇宙機関(ESA)は2022年10月31日、ハッブル宇宙望遠鏡によって観測された「アープ248」の貴重な姿を公開した。
「アープ248」の2つの銀河をほぼ真正面からとらえた画像では、背景にある無関係な銀河を挟み、これらの銀河が細長い尾のようなものでつながっている様子がみられる。このように細長く伸びる星と星間塵の流れは「潮汐尾」と呼ばれ、塵やガスが豊富な銀河の重力相互作用によって形成される。
「特異銀河」が一覧化された天文カタログ
米天文学者ホルトン・アープ博士が1966年に編纂した天文カタログ「アープ・アトラス」やアープ博士が同僚の天文学者バリー・マドア博士とともに1987年に出版した「カタログ・オブ・サザンペキュリアギャラクシーズ・アンド・アソシエーションズ」では、「アープ248」のような相互作用銀河や渦巻銀河をはじめ、大きさ、形状、組成などが通常と異なる「特異銀河」が数多く収録されている。
「特異銀河」が一覧化されたこれらの天文カタログは、相互作用銀河や銀河合体の解明に役立てられている。たとえば、2014年には「ISFO」と呼ばれる新たな分類の天体が発見された。銀河が相互作用するときに形成される様々な天体は「ISFO」に分類される。
ハッブル宇宙望遠鏡に搭載されている光学観測装置「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」は、その後継機であるジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)や南米チリ・アタカマ砂漠に設置されている「アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA)」が将来観測する有望な候補を探すべく、数々の奇妙な銀河を調査してきた。欧州宇宙機関は「将来の観測の指針となるこのような調査は、観測時間の貴重な投資となる」とその意義を改めて評価している。