「地獄に落ちる」と脅され続けた──宗教2世1131名に聞いた、心理的虐待の実情
●受験勉強が捗らないのは徳が低いから、家が貧しいのは家族の徳が足りない、弟が軽い知的障害があるのは祖母が入信しないから。
●障害を持っている方の事を、過去世に行者を迫害したり悪い事をしたせいで、そのように生まれたと言っていた。
●障害者が生まれる家系は先祖の悪い因縁があって、宗教の教えを学んで、それを断ち切らないといけないと母が信者の友人から聞いて、私はそれをずっと信じて苦しんできた。私が先祖の代わりに神に謝罪しないといけないと思ったり、私は前世で悪い事をしたんだと思うようになってとても苦しんできた。
●小学校の頃、同級生に吃音の子がいて、その子の親が元信者だったそうで、「信仰を捨てたからその子が吃音になったんだ」という事を自分の親が言っていたのを今でも覚えている。
こうした価値観を植え付けられた2世が、その後の人生の中で、価値観の「残響」に苦しみ続けるという声が多くあった。与えられた恐怖へのトラウマなどはもちろんのこと、与えられ続けた「信念」が、そのまま残り続けていることとの葛藤を味わうこともしばしばだ。
こうした当事者の声を踏まえると、虐待防止の議論は、予防や介入の手段を増やすことに加えて、「その後のケア」も必要であると分かる。サバイブした2世が、心理療法や自助グループに繋がりやすい社会。あるいは、社会適応を妨げるような教義を埋め込まれた2世などに、定着支援を行えるような試み。
無論これらの整備は、宗教的虐待に限らず、虐待対応全般としての課題でもあった。「児童虐待防止推進月間」において行政は、ただ国民らに対する啓発を行うだけでなく、法律や財源など、何が不足しているのかの洗い出しを徹底してほしい。
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