最新記事

漫画

韓国当局、大統領批判の漫画「きかんしゃユン・ソクヨル号」に激怒 展示した国際漫画祭の支援取消へ

2022年10月6日(木)21時41分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
韓国全国学生漫画公募展でひとコマ漫画部門金賞受賞作「ユン・ソクヨル号」

問題になった漫画「ユン・ソクヨル号」 MBCNEWS / YouTube

<韓国の全国高校生漫画コンテストで金賞を受賞した1枚の風刺漫画が問題に──>

『梨泰院クラス』のような人気ドラマの原作として日本でも韓国のウェブ漫画「ウェブトゥーン」が人気を集めるようになっているが、本国韓国では今、1枚の風刺漫画が政界をも巻き込んだ論争を巻き起こしている。京義新聞がスクープして話題を集め、他の韓国メディアが後続記事を出している。

12万人が観覧する大規模イベントで展示

問題になった漫画は9月30日〜10月3日まで京畿道・富川(プチョン)市で開催された富川国際漫画祭(BICOF)に展示されていた。

富川国際漫画祭は「アジア最高のグローバルマンガフェスティバル」と銘打った漫画祭で、漫画家や関係者1000人、国内外のコスチュームプレーヤー約5千人が参加し、観覧客数12万人という大規模なイベントだ。韓国最高の漫画賞「富川漫画大賞」を中心とした受賞作品の展示をはじめ、漫画関連のコンサート、国際コスプレチャンピオンシップ、漫画マーケットなど多彩なプログラムが行われた。

そのなかで、ネットを中心に話題を集めた作品があった。タイトルは「ユン・ソクヨル号」。いや、タイトルを読まなくても、韓国国民なら絵を見ただけで誰でもすぐに分かる。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領をパロディーにしたものだ。

ユン大統領を世界的な子ども向け人気アニメ「きかんしゃトーマス」になぞらえたこの漫画、タイトルの前にハングルで2文字書かれている。「금상」=金賞受賞作という意味だ。なんと、この漫画は富川国際漫画祭で行われた全国学生漫画公募展でひとコマ漫画部門金賞受賞作に選ばれていたのだ。全国学生漫画公募展では大賞は文化体育観光部長官賞が与えられ、金賞は各部門の最高の賞で京畿道知事賞が授与される。

授賞式は10月1日、国際漫画祭が開催された韓国漫画博物館で行われ、京義新聞は国際漫画祭の主催者側にこの漫画を審査した審査委員らの選評を求めたが、漫画祭の関係者は、内部資料のため公開できないと回答したという。

この漫画、タイトルの下には作者の名前と学校名が一部隠された形で掲載されている。これを見たネットユーザーたちは「高校生の覇気を見よ」と、現職大統領を批判する漫画を書いたことに驚きを見せたり、「この学生もすごいが、この作品に金賞を与えた審査委員らもすごい」とコメントを書き込んでいる。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米主要産油3州、第4四半期の石油・ガス生産量は横ば

ビジネス

今回会合での日銀利上げの可能性、高いと考えている=

ワールド

米首都近郊で起きた1月の空中衝突事故、連邦政府が責

ワールド

南アCPI、11月は前年比+3.5%に鈍化 来年の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 5
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中