最新記事

ウクライナ

ウクライナ軍がハイマースで海からクリミア大橋を狙う!?

Is Ukraine Using Floating HIMARS to Target Crimea Bridge -

2022年8月25日(木)20時05分
ニック・モードワネック

屈辱のクリミア併合を象徴するクリミア大橋 Pavel Rebrov-REUTERS

<ウクライナの独立記念日を記念するかのように、最も大胆なクリミア奪還作戦が行われれようとしていた──ロシア本土とクリミアを結ぶ橋に照準を定めたハイマースの動画が大拡散>

ウクライナ軍は、黒海に浮かぶピンクのゴムボートに高機動ロケット砲システム「ハイマース(HIMARS)」を据え、要衝クリミア大橋を狙う動画が、プラットフォームを超えて大拡散している。ウクライナ軍は、ロシアのクリミア支配の象徴であるクリミア大橋を、ハイマースを海に浮かべてまで破壊しようというのだろうか。そんなことが可能だったのか。

【動画】ゴムボートから「プーチンの橋」に狙いを付けるハイマース?

ケルチ海峡大橋とも呼ばれるこの橋は、8年前にクリミアを併合したロシアのウラジーミル・プーチン大統領がロシア本土とクリミア半島を直接結ぶだめに作らせたもの。ウクライナにとっては忌むべき橋だ。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の顧問を務めるミハイロ・ポドリャクは8月17日、「この橋は違法に建設された醜悪な物体であり、この橋の建設をウクライナは許可していない」とツイートしている。「橋は、(クリミア)半島の生態系を損なっているため、解体しなければならない」

ただし、ハイマースが海上からクリミア大橋に狙いを定めているこの動画は、フェイクだった。この動画の作者は「cds_899」を名乗るウクライナ人のTikTokユーザーであることが判明している。「ウクライナに栄光を」というハッシュタグを付け、110万回再生されたこの動画は、3Dモデリングソフト「ブレンダー」で作ったものだという。

その出来栄えに対しては、波の揺れるスピードが遅過ぎると指摘するコメントもあったが、多くは騙された。作者自身も、これほど拡散するとは思っていなかったと驚いている。

ウクライナ人クリエイターがロシアに報復するために作った作品が、上手すぎた例の一つだ。

ニューズウィーク日本版 ISSUES 2026
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米CB消費者信頼感、12月は予想下回る 雇用・所得

ワールド

トランプ氏「同意しない者はFRB議長にせず」、就任

ワールド

イスラエルのガザ再入植計画、国防相が示唆後に否定

ワールド

トランプ政権、亡命申請無効化を模索 「第三国送還可
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 5
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 8
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    楽しい自撮り動画から一転...女性が「凶暴な大型動物…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中