最新記事

干ばつ

「私を見たら泣け」 干ばつによる深刻な影響を警告する石がチェコの川底から出現

2022年8月19日(金)17時38分
松岡由希子

エルベ川に「ハンガーストーン」が出現した REUTERS/David W Cerny

<厳しい干ばつに伴って、チェコ北部からドイツ東部を流れて北海へ注ぎ込むエルベ川では水位が低下し、川底にある古い丸石「ハンガーストーン」が出現した......>

欧州が深刻な干ばつに見舞われている。欧州干ばつ観測所(EDO)によると、EU域内の47%で土壌が水分不足となっている「警告レベル」にあり、17%で植生がストレスを受ける「警戒レベル」に達している(2022年8月19日時点)。

「私を見たら泣け」と刻まれている

厳しい干ばつに伴って、チェコ北部からドイツ東部を流れて北海へ注ぎ込むエルベ川では水位が低下し、2022年8月中旬、チェコ北部ジェチーン近くの川底にある古い丸石「ハンガーストーン」が出現した。欧米のメディアで広く報じられ、SNS上でも話題となっている。

チェコのマサリク大学らの研究チームが2013年5月に発表した研究論文によると、「ハンガーストーン」は1616年に作られたとみられる。「私を見たら泣け」を意味する文がドイツ語で刻まれており、干ばつによって凶作となり、食料不足や物価高、飢餓がもたらされることを警告している。

この「ハンガーストーン」には、1900年以前に起こった干ばつとして、1417年、1616年、1707年、1746年、1790年、1800年、1811年、1830年、1842年、1868年、1892年、1893年が記録されている。最近では、2018年8月にも「ハンガーストーン」が出現した。

過去500年で最悪となるおそれ

欧州委員会共同研究センター(EC-JRC)によると、現在の干ばつは過去500年で最悪となるおそれがある。主任研究員のアンドレア・トレチ博士は8月9日の記者会見で「2018年の干ばつは少なくとも過去500年で他に類を見ない厳しいものだったが、今年は2018年よりもさらに悪いと考えられる」との見解を示した。

干ばつの影響はすでに欧州各国に広がっている。ドイツではライン川の水位が低下し、物流や観光に影響を及ぼしている。また、イタリア北部のポー川では干上がった川底から重さ450キロもの第二次世界大戦中の不発弾が見つかった。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ムーディーズ、米BDCの見通しを「ネガティブ」に引

ワールド

米ジョージア州下院補選、トランプ氏支持の共和党フラ

ワールド

トランプ氏、イラン攻撃2週間停止で合意 「文明滅亡

ワールド

ポルトガル、自国領基地の米軍機使用承認に民間施設攻
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライナ軍司令官 ロシア軍「⁠春の​攻勢」は継続
  • 3
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命防衛隊と消耗戦に
  • 4
    米軍が兵器を太平洋から中東に大移動、対中抑止に空白
  • 5
    「王はいらない」800万人デモ トランプ政権への怒り…
  • 6
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 7
    【後編】BTS再始動、3年9カ月の沈黙を経て──変わる音…
  • 8
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 9
    5日間の寝たきりで髪が...ICUに入院した女性を襲っ…
  • 10
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 3
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 6
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 7
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 8
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 9
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 10
    米軍が兵器を太平洋から中東に大移動、対中抑止に空白
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中