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爆弾や機雷による火傷の跡も...黒海のイルカ数千頭が、ロシア軍のソナーで大量死

Russian Submarine Sonars Likely Caused Dolphin Deaths In Ukraine's Odesa Region, Ecologist Claims

2022年7月6日(水)19時01分
スマン・バランダニ
黒海のイルカ

Ivan Rusev/Facebook

<ソナーで方向感覚を失い、爆発の轟音で聴力に深刻なダメージを負う。少なくとも3000頭のイルカがすでに犠牲になっているという>

ウクライナ南部オデーサ州でイルカの死亡が相次いで確認されている。この問題について専門家からは、少なくとも一部の死亡例については、ロシア軍の艦船や潜水艦が使用するソナー(水中音波探知装置)が原因である可能性が高いと指摘する声が上がっている。

環境科学者のイワン・ルセフは、オデーサ州のツズロフスキーリマニー国立公園とその周辺で4頭のイルカの死体が発見されたという報道を受けて、声明を発表。この中で、イルカの死因はロシア軍の艦船が招いた可能性があると述べた。

Ivan Rusev/Facebook

■【写真】機雷などが原因と見られるひどいやけどを負ったイルカ

ニュースサイトのウクライナ・プラウダによれば、ルセフは「ソナーの使用によって発せられる騒音は、海洋生物の健康に悪影響を及ぼす。音波の放射帯にイルカがいた場合、それらのイルカは方向感覚や位置認識を失ってしまう」と指摘した。

また同地域で実施されている爆撃によって大規模な爆発が起きたことにより、イルカに悪影響がもたらされた可能性もあるという。「爆発音」でイルカの聴力や各種器官がダメージを受ければ、水中で進行方向を正しく認識できなくなるからだ。ルセフはまた、イルカが事実上「視力を失う」ことになれば、ストレスやパニックが引き起こされることが考えられると指摘した。

「その結果、イルカは水中で機雷などの障害物や岩を避けることができず、衝突してしまう。また大きな問題は、そのように『感覚を失った』イルカは獲物をつかまえることができず、すぐに弱ってしまうということだ」と彼は説明した。

ロシア側は「感染症が原因の可能性」と主張

ロシアの複数の科学者は、黒海でのイルカの死亡について、感染症や漁業用の網にかかったことが原因である可能性があると主張したが、ルセフはこれを否定し、次のように述べた。

「戦闘が展開されている状況下において、感染症は二次的な現象だ。健康なイルカは免疫力が強く、感染症によって死亡することはきわめて稀だ。死亡の主な理由は軍事作戦だ」

ロシアがウクライナへの侵攻を開始した2月24日以降、黒海では少なくとも3000頭のイルカの死亡が確認されている。黒海の海洋生物について研究を行っているルセフは当時、やけどや怪我を負ったイルカ「数千頭」がブルガリア、ウクライナ、トルコ、ロシア、ジョージア、ルーマニアとモルドバの海岸に打ち上げられたと述べていた。

黒海沿岸に打ち上げられたこれらのイルカの死体には、爆弾や機雷によって負ったやけどの跡がはっきり見られたという。

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