最新記事

環境問題

気候変動に無策な人々は「あの連中」と同じ──ゴア元副大統領が使った侮蔑的な比喩の相手は

Al Gore Likens Climate Deniers to Uvalde Officers 'Waiting' During Shooting

2022年7月25日(月)16時09分
ファトマ・ハレド

米カリフォルニア州のヨセミテ国立公園の山火事は、樹齢500年の絶滅危惧種ジャイアント・セコイアの森に迫っている Tracy Barbutes-REUTERS

<地球環境の危機を訴えるアル・ゴア元米副大統領は、記録的猛暑が襲っても欧米諸国が気候変動に手をこまねいている現状を、多くの子どもたちを見殺しにしたあの事件になぞらえた>

環境保護主義者として知られるアメリカのアル・ゴア元副大統領は、気候変動に対して無策な人々を、テキサス州ユバルディの小学校で5月24日に起きた銃乱射事件で、廊下に集まりながら1時間以上も突入しなかった警官たちになぞらえた。

「気候変動の否定論者は、テキサス州ユバルディの小学校で子供たちが虐殺されている間、外で待機していた400人近い警察官たちと、ある意味でよく似ている。彼らは叫び声を聞き、銃声を聞いたが、誰も前に出なかった」と、ゴアはNBCの報道番組「ミート・ザ・プレス」で述べ、その動画が23日にツイッターに投稿された

銃乱射事件の犯人サルバドール・ラモス(18歳)は、ロブ小学校の児童19人と教員2人の教師を射殺した。先日、犯行当時の経緯が記録された監視カメラ映像が公開された。

この82分に渡る映像で明らかになった警察の対応の遅さに、怒りの声が湧きおこった。


ゴアはミート・ザ・プレスので、気候変動を「地球規模の緊急事態」と表現し、その影響に対抗するためにできることはもっとある、と付け加えた。

列車のレールも膨張

「私たちが気候変動に対して何もできずにいることと、ドアを開けて突入し、殺人を止められないことは、どちらも人間としてできるはずのことをしていない異常な事態だ」と、ゴアは語った。彼は2006年に出版された『不都合な真実』の著者としても知られている。

ゴアの発言はこのところの異常な気温上昇と関係している。アメリカとヨーロッパ各地は熱波に襲われ、一部地域では最高気温が40度を記録、山火事も発生した。

アメリカのアムトラック(鉄道旅客輸送公社)は22日、暑さのため列車の運行制限を行うことを発表、猛暑によりレールやワイヤーが膨張する可能性があるためだ。レールの温度が一定上上昇すると列車の速度を落とすため、運行にも遅れが生じる。

「私たちには解決策がある」と、ゴアは言った。「こうした異常気象が着実に悪化し、深刻化していることで、人々の考えは変わり始めていると思う。私たちは国家として団結し、気候変動を政争の具にするのをやめなければならない。党派的な問題にしてはならない」

ゴアは19日にも、ヨーロッパの記録的な猛暑に言及したツイートで、こうつぶやいた。「あと何回記録が破られ、コミュニティーが焼け落ちれば、気候変動を止めるために必要な行動がとられるのだろうか」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

英仏、 米国のホルムズ封鎖に不参加 多国間枠組み策

ワールド

米のホルムズ海峡封鎖が開始期限、イラン報復示唆 原

ワールド

原油現物が最高値更新、150ドルに迫る 米のホルム

ワールド

米イラン停戦「非常に脆弱」、中国外相 対立激化への
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事の新シナリオ
特集:台湾有事の新シナリオ
2026年4月21日号(4/14発売)

地域紛争の「大前提」を変えた米・イラン戦争が台湾侵攻の展開に及ぼす影響をシミュレーション

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本は「イノベーションのやり方」を忘れた...ホンダ「EV撤退」が示す、日本が失った力の正体
  • 2
    「いい加減にして...」ケンダル・ジェンナーの「目のやり場に困る」姿にネット騒然
  • 3
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国防軍は崩壊寸前」
  • 4
    【銘柄】イラン情勢で「任天堂」が急落 不確実な相…
  • 5
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 6
    トランプがまた暴走?「イラン海上封鎖」の勝算
  • 7
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 8
    「違法レベル...」ゼンデイヤの「完全に透けて見える…
  • 9
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 10
    トランプ政権に逆風...「イラン戦争でインフレ再燃」…
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 3
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 7
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 8
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 10
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中