最新記事

ウクライナ

悪夢の「ブチャ虐殺」生存者の証言...住宅街で起きた処刑、性暴力、拉致の一部始終

Just a “Tip of the Iceberg”

2022年4月13日(水)17時14分
エイミー・マッキノン(フォーリン・ポリシー誌記者)、メアリー・ヤン(フォーリン・ポリシー誌記者)

220419P36_UKN_03.jpg

ロシア軍との戦闘で大きな被害を受けたマリウポリの集合住宅 ALEXANDER ERMOCHENKO-REUTERS

現時点で、筆者らはこの「4万人」という数字を客観的に検証できていない。しかし米宇宙技術企業のマクサー・テクノロジーズ社が公表し、ワシントン・ポストが検証した衛星画像を見ると、マリウポリ東方のノボアゾフスクで親ロシア派の勢力が、マリウポリから「避難」してくる一般市民の収容施設を建設していたことが分かる。

国連ウクライナ人権監視団(HRMMU)の広報担当によれば、親ロシア派の武装集団が用意した施設に収容されたとみられるマリウポリ住民の正確な数は把握できていないが、3月下旬の時点で毎日4000個以上の食料パッケージが配布されていた。このことから推定すると「マリウポリからの避難民はかなりの数に上る」。この担当者は電子メールでそう述べた。

真っ先に逮捕・殺害すべき要人リスト

既に食料も水も尽きかけているマリウポリの住民にHRMMUが聞き取り調査をしたところ、避難したいならロシアの支配地域へ行けと(ロシア兵から)言われたという複数の証言があった。ウクライナ側に行きたいという願いは拒絶されたという。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのゴルブノワによると、彼らの調査でも多くのウクライナ市民が、ロシアの支配下にある地域を避難先に選ぶしかなかったと話している。

「強制的にバスに乗せられ、ロシアに連行されただけではない。『親ロシアの2州に行くか、ロシアに行くか、さもなければ死だ』と通告された住民もいる」とゴルブノワは言う。ただし現時点ではヒューマン・ライツ・ウォッチも事実関係を調査中であり、どれだけの人が連行されたかは明言できないとした。

一方、アメリカ政府が入手した秘密情報によれば、ロシア政府はウクライナに攻め込むに当たり、真っ先に逮捕または殺害すべきウクライナ側の要人や著名人のリストを作成していたらしい。

ウクライナの人権団体ZMINAによれば、ロシアによる侵攻後、ジャーナリストや人権活動家、政府職員、教会の指導者など、約90人が行方不明になっている。

いずれもロシア軍に拉致されたとみられ、中には解放された人もいるが、今も40人以上の行方が分かっていないとZMINAのタティアナ・ピチョンチック代表は言う。(ZMINAの集計は目撃者からの通報や家族の証言、警察発表などに基づいており、第三者による検証は得られていない)

だがキーウ近郊のモティジンでは、4月2日にロシア軍が撤収した後、村長のオルガ・スヘンコとその家族が遺体で発見されている。ZMINAの調査員アナスタシア・モスクビチョバによれば、彼らは3月23日以来、行方不明者リストに載っていた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:イラン戦争でインフレ再燃、トランプ政権に

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、中東停戦維持期待で安全資産

ワールド

イラン交渉団がパキスタン到着、レバノン停戦要求 米

ビジネス

米国株式市場=まちまち、中東交渉控え様子見 ハイテ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国防軍は崩壊寸前」
  • 4
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 5
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 6
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 7
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 8
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 9
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 10
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 7
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 8
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 9
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 10
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中