最新記事

語学

アプリでウクライナ語を学ぶ人が世界で急増!

More Americans Want to Learn Ukrainian Than Ever Amid Russian Invasion

2022年4月12日(火)18時21分
エマ・メイヤー

避難民を助けたい(写真はウクライナのマリウポリからチェコに逃れてきた母子と友達) Eva Korinkova-REUTERS

<ロシアのウクライナ侵攻後、ウクライナの文化や言葉、避難民の苦境などへの関心が爆発。ウクライナ語を学ぶ人は7倍近くに増えている>

ロシアによるウクライナ侵攻以降、ウクライナ語を学ぼうとする人がかつてないほど増えている。

語学学習アプリのデュオリンゴ(Duolingo)は、2月24日にこの戦争が始まって以降、ウクライナ語を学ぼうとする人の数が全世界で大幅に増えていると報告した。

デュオリンゴで上級学習研究員を務めるシンディー・ブランコ博士は本誌の取材に対し、全世界で見ると「デュオリンゴでウクライナ語を学ぶ人の数は577%増加した」と述べた。

デュオリンゴによれば、ウクライナ語を学ぶ人の数が最も多いのはアメリカだという。アメリカは、同アプリのユーザー数が最も多い。

「アメリカにおけるウクライナ語学習者数の伸びは、(全世界での伸びと)類似しており、戦争が始まる前と比較して554%増となった」とブランコは述べた。

避難民を助けたい

一方、ウクライナからの避難民の多くがポーランドに押し寄せていることを受け、同国でもウクライナ語学習への関心が爆発的に増えている。

ブランコによると、ポーランドでウクライナ語を学ぶ人の数は、軍事侵攻以来、2677%増加したという。

「一般的な言語学習者は、戦争の影響を受けることなどほとんどないだろう」とブランコは述べる。「だが数百万人単位のウクライナ人避難民を受け入れるポーランドでは、数週間後で学習者が急増してピークに達している」

戦争が始まって以来、ウクライナ全人口の10%以上が国を離れている。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のデータによると、避難した人の数は454万7735人にのぼり、そのうち260万人がポーランドに逃れている。

40近くの言語についてオンラインで語学レッスンを提供するデュオリンゴは、ウクライナ語学習者から得た収入の全額を、ウクライナ避難民の支援団体に寄付するとしている。

デュオリンゴのルイス・フォン=アン最高経営責任者(CEO)は3月14日付の声明で、「ウクライナ侵攻が始まってから、ウクライナ語を学ぶ人の数は急増している」と書いている。「ウクライナの文化に対する支持と評価の現れとして素晴らしいことだ。だが、当社がそこから利益を得るのは適切とは言えないだろう」

フォン=アンはさらに、デュオリンゴがロシアおよび(戦争協力者の)ベラルーシにおけるすべての収益事業を停止したことを明らかにした。「これは、当社がロシア政府に一銭たりとも税金を払わないようにすると共に、将来的に提供が不可能になるおそれがあるサービスを販売しないようにするための措置」だという。

「ウクライナ語に対して世界的に興味関心が高まっていることは、世界が現在の情勢を大いに気にかけていることの現れだと思われる」とブランコは語った。「人々は、どうしたらもっとウクライナからの避難民の力になれるか考えているのだろう」

(翻訳:ガリレオ)

20250401issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月1日号(3月25日発売)は「まだ世界が知らない 小さなSDGs」特集。トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ミャンマー地震の死者1000人超に、タイの崩壊ビル

ビジネス

中国・EUの通商トップが会談、公平な競争条件を協議

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 6
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 7
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 8
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 9
    最古の記録が大幅更新? アルファベットの起源に驚…
  • 10
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 10
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中