最新記事

航空機事故

【動画】空から垂直に堕ちた中国旅客機

Video Shows Moment China Eastern Airlines Plane Nosedives Before Crash

2022年3月22日(火)17時34分
ジュリア・カルボナーロ

墜落した中国東方航空機と同型機。習近平国家主席は2015年にボーイング社で同機を視察した Mark Ralston-REUTERS

乗客乗員132名を乗せた中国東方航空の旅客機が3月21日、中国南部の山岳地帯に墜落。これを受けて、大規模な救助活動が進行中だ。

中国のソーシャルメディア・プラットフォーム「微博」に投稿された1本の動画には、中国東方航空が運航するボーイング737-800旅客機が、広西チワン族自治区で地面に向けて真っ逆さまに墜落する様子が捉えられている。これは、近年の中国で起きた航空機墜落事故としては最悪のケースになるおそれがある。

■MU5735便最後の数秒

■「こんな堕ち方は考えられない」


(0:40ごろから2種類の落下映像)

中国メディアの報道は、生存者がいる兆候はないとの見方を伝えているが、公式な死亡者数については、まだ当局からの発表はないと、ロイターは伝えている。

墜落した「MU5735便」は現地時間3月21日午後、中国南西部の雲南省昆明から、中国南部の広東省広州に向かう途中だった。

航空機の追跡サイト「フライトレーダー24」のデータから、事故の経過が判明している。それによると、MU5735便は高度3万フィートを飛行していたが、現地時間午後2時20分に突然降下し始め、2分後には、ほぼ垂直に急降下して、分速3万1000フィート(秒速約567キロ)で地面にたたきつけられたという。

中国で最大級の航空機事故

複数の動画によると、墜落した場所からは大きな火の手が上がり、もうもうと煙が立ちのぼっている。墜落で発生した山火事はすぐに消し止められた。地元の救急部門により、墜落した現場は莫●村だと特定された(●は「土へんに良」)。

中国国営メディアの報道によると、地元警察が住民から最初の通報を受けたのは、現地時間午後2時30分。MU5735便との通信が途絶えてから15分後のことだった。

中国民用航空局によると、事故に遭ったMU5735便には、乗客123名、乗員9名の計132名が搭乗していた。

中国の習近平国家主席は、事故現場での大規模な救助活動を指示した。消防士1000名近くに加え、その他の救急業務にあたる人員100名以上が動員されていると、広西チワン族自治区の消防局は伝えている。

今回の事故は、中国の航空界にとって最悪レベルの航空機事故になるおそれがある。中国では、2010年8月に当時の河南航空の航空機が着陸時に滑走路の手前で墜落し、乗客乗員92名のうち44人が死亡した事故を最後に、旅客機の墜落死亡事故は報じられていなかった。

河南航空の事故では、原因はパイロットの操縦ミスとされた。

今回の事故を起こした中国東方航空は、公式ウェブサイトとソーシャルメディアのプロフィール画像を白黒のものに差し替えて犠牲者に哀悼の意を示し、緊急支援用の電話番号を開設した。

また自社が所有する同型のボーイング737-800について、すべての機体を運航停止にすると発表した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:認知症薬レカネマブ、米で普及進まず 医師に「

ワールド

ナワリヌイ氏殺害、プーチン氏は命じず 米当局分析=

ビジネス

アングル:最高値のビットコイン、環境負荷論争も白熱

ビジネス

決算に厳しい目、FOMCは無風か=今週の米株式市場
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中