ウクライナ戦争を陰で支える中国に制裁を
China's Behind-the-Scenes Role in Ukraine War
中国がプーチンのウクライナ侵攻計画を知っていたことは明らかだ。ニューヨーク・タイムズ紙によれば、中国政府はロシア政府に対して、北京での冬季オリンピックが閉幕するまでウクライナ侵攻に踏み切らないよう要請していた。そして北京オリンピックは2月20日に閉幕。その直後の2月24日に、ロシアはウクライナ侵攻を開始した。
アメリカの最恵国待遇にあたる「恒久的正常貿易関係(PNTR)」の地位をどの国に認めるかは、(大統領ではなく)議会が決める。2021年3月には、3人の共和党上院議員――トム・コットン(アーカンソー州選出)、ジェームズ・インホーフ(オクラホマ州)とリック・スコット(フロリダ州)――が中国のPNTRの地位をはく奪する「中国貿易関係法案」を議会に提出した。同法案は、中国との貿易関係について(中国にPNTRの地位を認めた)2001年以前の状態に戻し、毎年中国との貿易関係を見直すよう求めた。
「中国の幻想」は誤りだ
また熱心な人権擁護派のクリス・スミス下院議員(共和党・ニュージャージー州選出)、トム・スオジ下院議員(民主党・ニューヨーク州)は今週にも、中国のPNTRの地位をはく奪する法案を共同で提出する見通しだ。
米下院トム・ラントス人権委員会の共同議長であるスミスは、「支持政党を問わず、多くの企業や政治指導者たちが『中国幻想』に陥り、貿易が活性化すれば中国も私たちのように民主的になると信じて人権侵害にも目をつぶってきた」と本誌に語った。「その考えは誤りだった」
米議会は「人権問題についての具体的な進捗に応じて、正常な貿易関係を更新するかどうかを毎年見直すべきだ」と、スミスは言う。
彼の言うとおりだ。中国はこれまで、PNTRという安泰な地位を確保した上で、ジェノサイド(集団虐殺)をはじめとする人道に対する罪を冒してきた。中でも顕著なのが、ウイグル族やカザフ族などの少数派民族に対する弾圧だ。そして今回、中国はロシアによるウクライナ人殺害を間接的に支援している。アメリカは、国内で残虐行為をはたらき、海外で侵略や侵害行為をはたらいている国々と貿易を行うべきではない。