孤立したロシア兵、戦車を120万円でウクライナに譲る
ロシアよりも「人間としてまともに扱う」
投降後はウクライナ軍の捕虜として扱われ、氏名、階級、生年月日、識別番号を明かす必要がある。捕虜への質問事項としてジュネーブ条約で認められる範囲内での質問に留まっており、人道的な扱いを重視する姿勢がうかがえる。
また、貴重品は一時的に回収されるが、解放されロシアに帰還する際には返還が約束されている。こうした「あるべき形」での捕虜待遇は、ゼレンスキー大統領の方針と合致するものだ。
ゼレンスキー氏は3月15日の演説ですでに、ロシア兵に対して揺さぶりをかけていた。「生き延びたいことは私もわかっている」「あなた方の会話を傍受しており、この無意味な戦争、この恥辱、そしてあなたの国家について、本当はどう考えているのかが聞こえてきている。」
続いてゼレンスキー氏は人間的な扱いを約束し、投降を呼びかけた。「我々の軍に降伏すれば、人としてあるべき形で扱おうではないか。人間としてまともな方法で。あなた方の軍が行わなかったやり方で。」
ロシア戦車の獲得続く
ロシア戦車をめぐっては、ウクライナ領内に残置されていた車両が続々と接収され、ロシアへの攻撃に転用されている。オープンソースのデータベースによると、ロシア軍の戦車少なくとも118台がウクライナ側に渡った。
ウクライナ軍の目の前で戦車を乗り捨て、敗走する例も報告されている。あるウクライナ兵は欧州放送局『ラジオ・フリー・ヨーロッパ』の取材に対し、ロシア側の戦車3台を接収した経緯を明かした。
Ukrainians Seize Russian Tanks After Retaking Village
兵士の部隊がキエフ郊外の村に向かっていたところ、空中偵察部隊から、近くを3台のロシア戦車が移動しているとの情報が寄せられた。待ち伏せて交戦状態に入ると、「(ロシアの)戦車搭乗員たちはひどく怯え、ギアをリバースに入れて建物のあいだと森を抜け、村まで後退した」という。
その後ぬかるみにとらわれ身動きが取れなくなると、ロシアの搭乗員たちは戦車を捨てて逃走した。ウクライナ兵は、「(戦車)1台で乗り込み、3台を手に入れた」と振り返る。
豪ニュースサイト『news.com.au』は、「ロシア部隊による放棄が続いた結果、ウクライナによると同国は現在、戦争開始時よりも多くの戦車を保有している」と報じている。士気低下が目立つロシア軍は、兵士と機材の流出に歯止めがかからないようだ。