最新記事

ロシア

孤立したロシア兵、戦車を120万円でウクライナに譲る

2022年3月31日(木)17時30分
青葉やまと

ロシアよりも「人間としてまともに扱う」

投降後はウクライナ軍の捕虜として扱われ、氏名、階級、生年月日、識別番号を明かす必要がある。捕虜への質問事項としてジュネーブ条約で認められる範囲内での質問に留まっており、人道的な扱いを重視する姿勢がうかがえる。

また、貴重品は一時的に回収されるが、解放されロシアに帰還する際には返還が約束されている。こうした「あるべき形」での捕虜待遇は、ゼレンスキー大統領の方針と合致するものだ。

ゼレンスキー氏は3月15日の演説ですでに、ロシア兵に対して揺さぶりをかけていた。「生き延びたいことは私もわかっている」「あなた方の会話を傍受しており、この無意味な戦争、この恥辱、そしてあなたの国家について、本当はどう考えているのかが聞こえてきている。」

続いてゼレンスキー氏は人間的な扱いを約束し、投降を呼びかけた。「我々の軍に降伏すれば、人としてあるべき形で扱おうではないか。人間としてまともな方法で。あなた方の軍が行わなかったやり方で。」

ロシア戦車の獲得続く

ロシア戦車をめぐっては、ウクライナ領内に残置されていた車両が続々と接収され、ロシアへの攻撃に転用されている。オープンソースのデータベースによると、ロシア軍の戦車少なくとも118台がウクライナ側に渡った。

ウクライナ軍の目の前で戦車を乗り捨て、敗走する例も報告されている。あるウクライナ兵は欧州放送局『ラジオ・フリー・ヨーロッパ』の取材に対し、ロシア側の戦車3台を接収した経緯を明かした。

Ukrainians Seize Russian Tanks After Retaking Village


兵士の部隊がキエフ郊外の村に向かっていたところ、空中偵察部隊から、近くを3台のロシア戦車が移動しているとの情報が寄せられた。待ち伏せて交戦状態に入ると、「(ロシアの)戦車搭乗員たちはひどく怯え、ギアをリバースに入れて建物のあいだと森を抜け、村まで後退した」という。

その後ぬかるみにとらわれ身動きが取れなくなると、ロシアの搭乗員たちは戦車を捨てて逃走した。ウクライナ兵は、「(戦車)1台で乗り込み、3台を手に入れた」と振り返る。

豪ニュースサイト『news.com.au』は、「ロシア部隊による放棄が続いた結果、ウクライナによると同国は現在、戦争開始時よりも多くの戦車を保有している」と報じている。士気低下が目立つロシア軍は、兵士と機材の流出に歯止めがかからないようだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米イラン協議決裂、核・ホルムズ海峡で溝埋まらず 停

ワールド

中国、台湾向け観光規制緩和など新措置 野党党首訪中

ビジネス

円高につながる金融政策、「一つの選択肢」=赤沢経産

ワールド

アングル:中南米系の共和党支持に動揺の兆し、民主党
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康を守るはずのサプリが癌細胞を助ける? 思いがけない副作用に研究者が警鐘
  • 2
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦によって中国が「最大の勝者」となる理由
  • 3
    新しいアメリカンドリームは「国外移住」...5人に1人が海外を希望する時代
  • 4
    中国が恐れる「経済ドミノ」
  • 5
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 6
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 7
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 8
    革命国家イラン、世襲への転落が招く「静かな崩壊」
  • 9
    【銘柄】イラン情勢で「任天堂」が急落 不確実な相…
  • 10
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 7
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 8
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 9
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 10
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中