最新記事

北京五輪

米元国連大使が、五輪の中国代表になったアイリーン・グー(谷愛凌)の欺瞞を批判

Nikki Haley Tells Olympic Skier Eileen Gu She Can't Be American and Chinese

2022年2月16日(水)15時29分
キャサリン・ファン
アイリーン・グー(谷愛凌)

スロープスタイルで銀メダルを取り、中国国旗を掲げるアイリーン・グー(2月15日、北京)  Lisi Niesner-REUTERS

<「アメリカ代表として自由を支持するのか、中国代表として人権侵害を支持するのか、その中間はあり得ない」と、反中強硬派のニッキー・ヘイリーは断じた>

米国共和党の政治家で、サウスカロライナ州知事や国連大使を務めた経歴を持つニッキー・ヘイリーはこのほど、中国代表のスキー選手として北京五輪に出場し、金メダルを獲得した18歳の谷愛凌(こく・あいりょう、英名アイリーン・グー)を非難した。そして、アスリートは国籍に関して「どちらかを選ばなければならない」と述べた。

谷は、米国サンフランシスコで生まれ育ったアメリカ人でありながら、母親の母国である中国のために競技をするという決断をした。米中対立を背景に、その決断がアメリカの一部では批判の対象になっている。

ヘイリーは、政治ニュースサイト「リアル・クリア・ポリティクス」に対し、「国籍は中国? それとも米国? どちらかを選ぶべきだ」と断言した。「なぜなら、彼女は米国人か中国人のどちらかで、その2つは全く異なる国だからだ」

「すべてのアスリートは、国旗を掲げるとき、自由を支持するのか、人権侵害を支持するのかを明確にする必要がある」とヘイリーは続ける。「その中間は存在しない」

米政府が外交的ボイコットをした国

アメリカ生まれの谷は2019年、中国の代表として北京冬季五輪に出場すると表明。米政府はその後、新疆ウイグル自治区のイスラム教徒に対する中国の「ジェノサイドと人道に対する罪」を理由に、北京五輪の外交的ボイコットを発表した。

谷は五輪後、米スタンフォード大学への進学を予定しており、米国籍を放棄したかどうかを明らかにしていない。中国は二重国籍を認めていない。

谷は2019年、インスタグラムの投稿で、「私は自分の伝統を誇りに思っているし、米国で育ったことも同じくらい誇りに思っている」と語っている。「2022年の北京冬季五輪で、私の母が生まれた国に住む何百万人もの若者にインスピレーションを与えることは、私が愛するスポーツの振興に貢献できる一生に一度の機会だ」

谷の決断は中国で称賛され、中国企業から巨額のスポンサー契約も続々と舞い込んだ。

かくて五輪デビューを果たした谷は、フリースタイルスキー女子ビッグエアで金メダルに輝き、スロープスタイルでも銀メダルを獲得した。ハーフパイプにも出場する予定だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中