北京五輪ジャンプ台の横に原発?「地獄のような光景」でも選手が文句を言わない理由
Beijing's Industrial Wasteland Setting for Winter Olympics Horrifies Viewers
ディストピア的?なビッグエアの会場 Fabrizio Bensch-REUTERS
<オリンピック会場とは思えない立地にネット民は騒然。だが、こうなったのには深い理由があった>
北京冬季オリンピックのある競技会場が、ネット上で「地獄の光景」に例えられ、話題になっている。スキーのジャンプ台が、製鉄所の跡地を転用した遊園地「首鋼パーク」内に建てられているのだ。
北京では第24回冬季オリンピックが開催されている。北京の西部にあるフリースタイルスキーやスケートボードのジャンプ台がある競技会場「ビッグエア首鋼」で競技が始まると、SNS上で会場の異様な光景に驚きの声があがった。
溶鉱炉や煙突、冷却塔など、製鋼所などの古くシュールな施設を背景に、とてつもなく大きく人目を引く高さ64メートル、長さ164メートルのジャンプ台が聳え立っている。
男女フリースタイルスキー・ビッグエア種目の予選に参加した選手たちは、ジャンプ台の背後の北京オリンピックのロゴが刻まれた冷却塔を背景に写真を撮った。
ツイッターでこの会場の写真を共有した@LeaMaricは、「地獄のような光景」とコメントした。2月7日に投稿されたこのツイートは3万回以上「いいね!」がつき、他のユーザーも同じような意見をつぶやいた。
Hellscape pic.twitter.com/ZFXyEMc2pY
— ɐ͎ʞ͎ć͎ı͎ɹ͎ɐ͎ɯ͎ (@LeaMaric) February 7, 2022
ユーザーのリンゼーは「ビッグエアの試合の背景に核施設のようなものがあるなんて、ディストピア的だ」と投稿。
Feels pretty dystopian to have some kind of nuclear facility as the backdrop for this Big Air skiing event pic.twitter.com/l0nIvgX5Pv
— Lindsay (@LindsayMpls) February 7, 2022
選手には意外に好評
「オリンピックのビッグエア種目の競技場は、スプリングフィールド原子力発電所のすぐ隣にあるらしい」というジョークを投稿したのはジョン・ロベット。スプリングフィールド原子力発電所とは、テレビアニメの『ザ・シンプソンズ』に登場する架空の原子力発電所だ。
「北京のどこを探してもビッグエアの競技場に適した場所が見つからないから、発電所のどまんなかに建てたんだな。中国っておしゃれだね(大笑い)」というコメントもあった。
「どんなビッグエア会場にするかを話し合ったとき、主催者は『スリーマイル島(アメリカの原子力発電所)の日の出をイメージしよう』と言ったのかな?」とマイケルはからかった。
とはいえ、誰もがこのジャンプ台を気に入らなかったわけではない。ビル・トンプソンはこうコメントした。「2週間後には使われなくなる仮設のジャンプ台を作るために、家や森を壊すよりいいじゃないか」
選手たちもこの会場については好意的だった。中国代表として参加しているアメリカ生まれのフリースタイルスキー選手アイリーン・グーは言う。「この会場はとっても素敵。だって、ジャンプ台以外は、どこを見ても雪がない」
「ここで滑っていると、なぜか氷河の上にいるような気分になる」。