最新記事

海洋生物

カラフルなマントをまとうタコがグレートバリアリーフで見つかる

2022年1月18日(火)12時50分
松岡由希子

グレートバリアリーフで見つかることは極めて珍しいという...... Instagram @jacintashackleton

<野生のムラサキダコのメスが撮影された。グレートバリアリーフで見つかることは極めて珍しく、これまで3度目撃されただけだ......>

豪州大陸北東岸に広がるサンゴ礁群グレートバリアリーフ最南端のレディー・エリオット島沖で、野生のムラサキダコのメスが見つかった。

2021年1月6日、豪州の海洋生物学者ジャシンタ・シャクルトン氏がシュノーケリング中にその珍しい姿を撮影することに成功。インスタグラムに投稿された画像では、赤や黄色、オレンジ、紫といった鮮やかな色を身にまとい、ダンスするように優雅に泳ぐムラサキダコの姿がとらえられている。



ムラサキダコは一般に外洋で生息しているため、グレートバリアリーフで見つかることは極めて珍しい。このエリアでムラサキダコが目撃されたのはこれまでわずか3回にとどまり、最初に見つかったのはほんの20年余り前だ。

メスは最長2メートル、オスの体長はわずか2.4センチ

豪ミュージアム・ビクトリアらの研究チームが2002年に「グレートバリアリーフ北リボンリーフで野生のムラサキダコのオスを初めて発見した」と報告している。

ムラサキダコは、性別によって個体の形質が異なる「性的二形」が顕著な種だ。メスは最長2メートルにまで成長する一方、オスの体長はわずか2.4センチで、メスの体重はオスの1万~4万倍にもなる。また、メスにはカラフルなマント状の皮膜があり、これを使って捕食者から巧みに逃れるが、オスにはない。

このムラサキダコとの遭遇を「一生に一度の出来事」と称するシャクルトン氏は、英紙ガーディアンの取材で「最初に見つけたとき、ヒレの長い稚魚かもしれないと思ったが、近づくにつれてメスのムラサキダコだと気づき、嬉しさと興奮でいっぱいになった」とその瞬間を振り返っている。


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

中国万科、債権者が社債償還延期を拒否 デフォルトリ

ワールド

トランプ氏、経済政策が中間選挙勝利につながるか確信

ビジネス

雇用統計やCPIに注目、年末控えボラティリティー上

ワールド

米ブラウン大学で銃撃、2人死亡・9人負傷 容疑者逃
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 5
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中