最新記事

同時感染

コロナとインフルの二重感染「フルロナ」が世界で初めて報告される

2022年1月7日(金)17時10分
青葉やまと

単純なインフルとの見分けは難しく

ニューヨーク大学ランゴーン・ヘルス病院のパーヴィ・パリク医師(感染症アレルギー・免疫学)はNBCニューヨーク支局に対し、症状だけでフルロナを見極めることは困難だと語る。コロナとインフルエンザはどちらも呼吸器系の疾患であり、症状がほぼ共通しているためだ。共通して、発熱や頭痛、鼻詰まりに鼻水、喉の痛み、そして体の痛みや疲労感などを生じる。

これらの症状を感じた際は、人との接触を避け、早い段階で両感染症の検査を受けることが肝要となる。早期に判明すれば、疾病が進行しない段階で治療を始めることが可能だ。

現時点で報告されているフルロナの症状は、いずれも軽症に留まる。しかしパリク医師は、既往症を抱えている人々にとっては、重大なリスク要因になる可能性があるとも指摘する。心疾患、糖尿、肥満などに該当する場合、コロナまたはインフルいずれか単独の感染でも悪化のリスクが高まる。二重感染では免疫システムにさらなる負担をかけ、健康上のリスクが上昇する可能性があるという。

米セントラル・フロリダ大学のエイドリアン・バロウズ博士(家庭医学)も、フルロナは警戒を要するとの立場だ。昨年9月、同博士は米CNNに対し、同時感染は「免疫システムにとって壊滅的」な打撃となる可能性があり、結果として死亡率も上昇するとのではないかとの予測を示している。カリフォルニア大学の別の医学教授も、同時感染で呼吸器へのダメージが深刻化する可能性があると指摘している。

パニックは無用

一方で米タイム誌は、冷静な対応を呼びかけている。『「フルロナ」でパニックにならないように インフルとコロナに同時感染しても特別なことは何もない』と題する記事を掲載し、フルロナという新語に必要以上の恐怖を抱く必要はないと説く。

同時感染しても、2種類のウイルス同士が干渉してハイブリッド型を生み出すことはおそらくない、と同誌は述べる。オハイオ州クリーブランド市にある小児病院のフランク・エスパー医師は同誌に対し、フルロナの研究はまだ途上であるとしたうえで、一般的にはウイルス同士が混合して危険度を増す可能性は低いと説明している。

さらに同誌は、2020年に中国・武漢の同済病院で行われた研究を引用し、当時すでに新型コロナ患者544名のうち12%がインフルエンザに同時感染していたと伝えている。このデータが正しければ、ここ数日で正式に記録されたことでにわかに注目を浴びるようになったフルロナも、新しい現象ではないということになる。

ただし、予防策を講じるに越したことはない。エスパー医師はとくに幼児について、保育施設などで雑菌にさらされやすいため、ふだんからインフルへの感染率が成人の6倍以上高いと指摘する。さらにワクチンを打てないこともマイナス要因となるため、低年齢の子供には手洗いを徹底させるなど、一層の注意が必要だ。

成人の場合も、コロナとインフルの両方のワクチンを接種したうえで、マスクと手洗いなどの基本的な対策を徹底することがフルロナ予防に有効だという。

パニックに陥る必要はないものの、フルロナに関する医学的知見が確立していない現状では、例年以上のインフルエンザ対策を徹底するのが安全策といえそうだ。

'Flurona': What to know about co-infections with COVID-19 and the flu | JUST THE FAQS

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

コロンビア政府への軍事作戦は良い考え=トランプ氏

ワールド

スターマー英首相、短期政権交代は「国益に反する」と

ワールド

ミャンマー総選挙、第1回は国軍系USDPがリード 

ワールド

ウクライナ、年初から連日モスクワ攻撃とロ国防省 首
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...強さを解放する鍵は「緊張」にあった
  • 2
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 3
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 4
    2026年の節目に問う 「めぐみの母がうらやましい」── …
  • 5
    ベネズエラ攻撃、独裁者拘束、同国を「運営」表明...…
  • 6
    野菜売り場は「必ず入り口付近」のスーパーマーケッ…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    「対テロ」を掲げて「政権転覆」へ?――トランプ介入…
  • 9
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 10
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 6
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 7
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 10
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中