中間選挙の年、バイデン支持率挽回のカギは「アメリカ回帰」
Joe Biden Races Against Time to Achieve Priorities, Avoid Midterm Meltdown
この1年、検査とワクチン接種を推進してきたにも関わらず、新型コロナウイルスはいまだ猛威を振るっている。
ジョンズ・ホプキンズ大学によれば昨年12月、アメリカにおける新型コロナウイルスの新規感染者数は700万人を超え、3万8000人が死亡した。死者数は累積で82万7000人を超え、死亡率はG7諸国(フランス、ドイツ、イタリア、日本、イギリス、カナダ、アメリカ)の中で最も高い。
公的機関はもちろん民間企業でもさまざまな場面でワクチン接種が要求され、メディアも接種を強く呼びかけているが、接種が完了した人のアメリカ人の割合は65.3%に留まっている。オミクロン株から身を守るために必要とされる追加接種を受けた人の割合は30%に満たない。
「ホワイトハウスでは、対策が不十分だと主張する勢力との間で内紛のようなものが進行中だ」と、エール大学のグレッグ・ゴンサルベス准教授(疫学)はロイター通信に語っている。「バイデンは今日にもテレビに出て、『全員、マスクをしろ』と言うべきだ」
「マスクとワクチン接種は最も重要な対策の2本柱だ」と、疾病対策センター(CDC)のトーマス・フリーデン所長は報告書の中で述べる。
投票の権利保護も死活問題
景気の先行きが見えないのも、コロナ禍による不透明さが大きな原因だとホワイトハウスは言う。
「パンデミックに関係した混乱がサプライチェーンの問題を招いた。これにより物不足への懸念が引き起こされ、物価上昇につながった」と、バイデンは11月の記者会見で述べている。
インフレ率は過去29年間で最も高い水準まで上昇し、それにつれて食料品や自動車、ガソリンの価格や家賃も上がっている。そんな中、有権者が求めているのは解説よりも安心材料だろう。
ラスムセンによれば、バイデンは国民の投票する権利を守ることに強い関心を持っている。過去4年間にジョージアやアイオワ、テキサスなどの州では「選挙の安全保障」の名の下に、マイノリティーの投票を制限する立法に動いている。有権者登録を難しくする、郵便投票を制限する、街角の投票箱を減らす、などだ。
「(最高裁は)州がやっていることを監視するための連邦政府の力の一部を削った」と彼は言う。「それ以来、多くの州が有権者登録や、有権者が投票所に行くことを難しくするための方法を編み出した」
「今度は州は、票を数えて確定する方法を変えようとしている。その権限を選挙で選ばれた議員たちに渡そうというのだ。非常に憂慮される事態だ」とラスムセンは言う。