最新記事

アメリカ政治

中間選挙の年、バイデン支持率挽回のカギは「アメリカ回帰」

Joe Biden Races Against Time to Achieve Priorities, Avoid Midterm Meltdown

2022年1月5日(水)19時43分
ジェイレン・スモール

この1年、検査とワクチン接種を推進してきたにも関わらず、新型コロナウイルスはいまだ猛威を振るっている。

ジョンズ・ホプキンズ大学によれば昨年12月、アメリカにおける新型コロナウイルスの新規感染者数は700万人を超え、3万8000人が死亡した。死者数は累積で82万7000人を超え、死亡率はG7諸国(フランス、ドイツ、イタリア、日本、イギリス、カナダ、アメリカ)の中で最も高い。

公的機関はもちろん民間企業でもさまざまな場面でワクチン接種が要求され、メディアも接種を強く呼びかけているが、接種が完了した人のアメリカ人の割合は65.3%に留まっている。オミクロン株から身を守るために必要とされる追加接種を受けた人の割合は30%に満たない。

「ホワイトハウスでは、対策が不十分だと主張する勢力との間で内紛のようなものが進行中だ」と、エール大学のグレッグ・ゴンサルベス准教授(疫学)はロイター通信に語っている。「バイデンは今日にもテレビに出て、『全員、マスクをしろ』と言うべきだ」

「マスクとワクチン接種は最も重要な対策の2本柱だ」と、疾病対策センター(CDC)のトーマス・フリーデン所長は報告書の中で述べる。

投票の権利保護も死活問題

景気の先行きが見えないのも、コロナ禍による不透明さが大きな原因だとホワイトハウスは言う。

「パンデミックに関係した混乱がサプライチェーンの問題を招いた。これにより物不足への懸念が引き起こされ、物価上昇につながった」と、バイデンは11月の記者会見で述べている。

インフレ率は過去29年間で最も高い水準まで上昇し、それにつれて食料品や自動車、ガソリンの価格や家賃も上がっている。そんな中、有権者が求めているのは解説よりも安心材料だろう。

ラスムセンによれば、バイデンは国民の投票する権利を守ることに強い関心を持っている。過去4年間にジョージアやアイオワ、テキサスなどの州では「選挙の安全保障」の名の下に、マイノリティーの投票を制限する立法に動いている。有権者登録を難しくする、郵便投票を制限する、街角の投票箱を減らす、などだ。

「(最高裁は)州がやっていることを監視するための連邦政府の力の一部を削った」と彼は言う。「それ以来、多くの州が有権者登録や、有権者が投票所に行くことを難しくするための方法を編み出した」

「今度は州は、票を数えて確定する方法を変えようとしている。その権限を選挙で選ばれた議員たちに渡そうというのだ。非常に憂慮される事態だ」とラスムセンは言う。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日米首脳が電話会談、日中関係の悪化後初めて 高市氏

ワールド

パレスチナ、過去最悪の経済崩壊 22年分の発展が帳

ワールド

中国の新規石炭火力許可、25年は4年ぶり低水準に 

ワールド

ウクライナ首都に無人機・ミサイル攻撃、6人死亡 エ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 6
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 3
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中