早老症のユーチューバーが15歳で死去
Hutchinson-Gilford Progeria Syndrome Explained As YouTuber Adalia Rose Dies
少女は加速度的に老化する珍しい遺伝疾患を抱えていた(イメージ) ktsimage-iStock.
<肉体の加齢が急速に進んでしまう200万人に1人というまれな遺伝子疾患の少女は、日々の生活や闘病生活の動画を投稿して300万人近い登録ユーザーの心に深い刻印を残した>
15歳のユーチューバー、アダリア・ローズ・ウィリアムズのチャンネルには、300万人近い登録ユーザーがいた。そんな彼女が1月12日、この世を去った。ローズはハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群という珍しい遺伝疾患を抱えていた。
ローズの家族はフェイスブックとインスタグラムに声明を投稿。死去した事実を明らかにするとともに「(ローズはついに)この世から解放」されたと述べた。
ローズはユーチューバーとして、自らの生活や闘病生活を記録した動画を公開していた。
声明で家族はこうも述べている。「彼女は静かにこの世にやってきて、静かに去っていった。だがその人生は静けさとはかけ離れたものだった。何百万の人々の心を動かし、彼女を知る全ての人に最大級の刻印を残していった。彼女はもはや苦しみの中になく、今は大好きな全ての音楽に合わせて踊っている。これが私たちの現実でなければと思うが、残念ながら現実だ」
「彼女を愛し、支援してくださった全ての人にありがとうを言いたい。長年、彼女の健康を守るために働いてくれた全ての医師と看護師の皆さん、ありがとう。家族は今、この大きな喪失を内々で悼みたいと望んでいます」
プロジェリアとはどんな病気か
ハッチンソン・グリフォード・プロジェリア症候群(プロジェリア症候群、早老症の一種)は、非常にまれな遺伝子疾患で、一言で言えば子供の体が急速に年老いていく病気だ。
生まれた時は健康に問題は見られないが、多くの場合は生後2年までの間に急速な生物学的老化の徴候が見られるようになるという。
クリーブランド・クリニックによると、発症するのは世界中で200万人に1人の割合で、男女の違いはない。
原因となるのはラミンA(LMNA)という遺伝子の変異だ。ラミンAは細胞核がばらばらにならないようまとめる作用を持つLMNAタンパク質を作り出す。
ところがこの遺伝子に変異が生じると、プロジェリンと呼ばれる異常な形のLMNAタンパク質が生成される。プロジェリンは細胞を不安定にし、その結果として急速な老化が起こる。
発症のリスクを高めるような要因(環境や生活習慣など)は見つかっていない。多くの遺伝子疾患とは異なり、家族間で遺伝することはない。メイヨー・クリニックによれば、第1子も第2子もプロジェリアという確率は約2〜3%だという。
この病気を持つ子供は、運動能力の発達や知性が正常なのに、肉体的な成長が著しく遅い。徴候や症状が現れるのはたいてい、1歳になる前だ。