最新記事

イーロン・マスク

スペースXに「紛れもない破産リスク」 イーロン・マスクが内部レターで警告

2021年12月6日(月)16時20分
青葉やまと

マスク氏は2週間に1度の打ち上げが最低ラインになるとの見込みを示し、これが達成できなければスペースXに破産の可能性があると述べている。レターでは状況が「災害」級であるとも綴っており、「非常に率直なところ災害といえるこの状況から立ち直るため、我々全員が総力をあげる必要がある」と窮状を訴えている。

Why Starship Raptor Engine CREATE PROBLEM For SpaceX Long Term Plans?


レター流出受け釈明、問題は「改善している」

レターの外部への流出を受け、マスク氏は補足に追われた。氏は発言の趣旨を変更し、破産はおよそ起こり得ないが絶対にないわけでもない、という立場を示している。

マスク氏はツイッターを更新し、「世界的な景気後退が資金の入手容易性と流動性を枯渇させ、同時にスペースXが数十億(ドル)をスターリンクとスターシップ関連で失い続けたと仮定したとき、それでも破産は疑わしいものの、あり得ないというわけではない」と述べた。

また、別の投稿を通じ、ラプターエンジンの問題は「解決に向かっている」とも述べている。

マスク氏の企業に破産の噂がささやかれるのは、今回が初めてではない。米フォックス・ビジネスは、EVベンチャーのテスラが2008年の年末、倒産の瀬戸際にあったと振り返る。さらに、モデル3の製造問題に襲われた2019年までの2年間にかけ、資金枯渇の危機に直面していた。

リスクの高さは当人も重々承知のようだ。2018年のカンファレンス「サウス・バイ・サウスウエスト」のパネル・ディスカッションでマスク氏は、「さまざまなビジネスチャンスを対象にリスクを考慮に入れた収益予測を行うのであれば、ロケットと(EV)車両の製造は、リストの最下位にかなり近いところにあると私は評価するだろう」と述べ、自身が運営する2社が危険度の高いビジネスを行っているとの認識を示している。

テスラの「生産地獄」当時のマスク氏は、工場に寝袋を持ち込んで寝泊まりするなど、持ち前の熱意で窮地を乗り越えてきた。スペースXが直面する新たな試練への対応が注目される。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ロイターネクスト:為替介入はまれな状況でのみ容認=

ビジネス

ECB、適時かつ小幅な利下げ必要=イタリア中銀総裁

ビジネス

トヨタ、米インディアナ工場に14億ドル投資 EV生

ビジネス

米GDP、第1四半期は+1.6%に鈍化 2年ぶり低
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 8

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 9

    自民が下野する政権交代は再現されるか

  • 10

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中