最新記事

太陽

SF映画の突入シーン!? 太陽コロナの内側から太陽系の惑星をとらえた動画が公開される

2021年12月21日(火)18時30分
松岡由希子

コロナの中から、天の川銀河、金星を捉える NASA/Johns Hopkins APL/Naval Research Laboratory

<NASAの太陽探査機パーカー・ソーラー・プローブが、太陽のコロナに初めて到達したが、コロナの内から太陽系の惑星を捉えた映像が公開された>

アメリカ航空宇宙局(NASA)の太陽探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」が2021年4月に太陽の上層大気であるコロナに初めて到達していたことがこのほど明らかとなり、大いに話題となった。

【参考記事】歴史上初めて、探査機が太陽に「触れた」
太陽コロナに触れる探査機、熱で溶けない4つの理由

「パーカー・ソーラー・プローブ」には広角画像を白色光で撮影できる広視野カメラ「WISPR」が搭載され、太陽の構造などを観測している。

人工物として史上最速の速度で太陽のコロナの中に

NASAは、「パーカー・ソーラー・プローブ」の9回目の接近観測で2021年8月8日~12日に「WISPR」が撮影した画像をつなぎ合わせ、その動画を12月14日に公式ウェブサイトで公開した。


Flying through the sun's corona! See amazing NASA probe fotoage


この動画では、「パーカー・ソーラー・プローブ」が史上最速の人工物となった最高秒速147キロのスピードで「ヘルメット・ストリーマ」を通過している様子がわかる。

動画に映っている白い筋は、反対の磁極とつながる電気を帯びたガスやプラズマの巨大なループ「ヘルメット・ストリーマ」だ。明るく光る「ヘルメット・ストリーマ」は、日食時のみ地球から見えるが、動画では、「パーカー・ソーラー・プローブ」がコロナの内部でその上下を通過していることが確認できる。

コロナの内側から太陽系の惑星をとらえる

米ハーバード・スミソニアン天体物理学センター(CfA)の天体物理学者グラント・トレンブレー博士は、アメリカ海軍調査研究所(USNRL)の計算科学者カール・バタム博士やアンドリュー・フィリップス氏の協力を得てこの動画を詳しく分析し、その結果をツイッターに投稿した。


トレンブレー博士によると、動画では「ヘルメット・ストリーマ」の内側から火星、水星、金星、天の川銀河、土星の順で見られ、最後に地球と木星が現れたという。

パーカー・ソーラー・プローブ」は、2025年6月19日まで計24回にわたって接近観測を行う計画だ。

5 New Discoveries from NASA's Parker Solar Probe

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

次期FRB議長の条件は即座の利下げ支持=トランプ大

ビジネス

食品価格上昇や円安、インフレ期待への影響を注視=日

ビジネス

グーグル、EUが独禁法調査へ AI学習のコンテンツ

ワールド

トランプ氏支持率41%に上昇、共和党員が生活費対応
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「…
  • 9
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキン…
  • 10
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中