中国か台湾か ソロモン諸島、国交問題で政府と州が対立
中台の対立による影響は
中国と台湾はここ数十年、南太平洋を巡るライバル関係にある。この地域の島しょ国の中には、一方から他方へと関係を乗り換える動きもあり、中台双方が影響力を高めるために援助やインフラの提供を競い合っているという指摘も表面化している。
台湾と公式の外交関係を維持している国は15カ国。台湾と断交し、中国に乗り換えた最も最近の2例が、2019年9月のソロモン諸島とキリバスだ。
だがマライタ州のダニエル・スイダニ州首相は、州内から中国企業を追放し、米国からの開発援助を受け入れた。
スイダニ州首相は5月に治療を受けるために台北を訪問し、ソロモン諸島の中央政府および駐ホニアラ中国大使館から抗議を受ける事態となった。
担当医師らは、スイダニ州首相には脳腫瘍の疑いがあり、外国の病院での治療を推奨していたと話している。州首相の帰国は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の関連で数回にわたり延期されたが、10月にはマライタに戻っている。
中国・台湾の言い分は
台湾は、暴動にはまったく関与していないと述べている。一方、中国外務省はソロモン諸島での事態を憂慮していると述べ、両国の関係を損なおうとする試みは「無益だ」としている。
中国外務省の広報官は「我が国とソロモン諸島の外交関係の樹立が、ソロモン諸島の根本的かつ長期的な発展に沿ったものであることは、諸事実が証明している」と語った。
他の太平洋島しょ国は
南太平洋地域の主要な地域グループである太平洋諸島フォーラムのヘンリー・プナ事務総長は、「すべての当事者」に自制を促し、法の支配と憲法を遵守することを求める声明を発した。
米国の言い分は
米国務省はホニアラにおける暴力行為に懸念を表明し、平和と安全の迅速な回復を支持すると表明した。その上で、ソロモン諸島との間に「しっかりとした絆」を維持しているとも述べている。
米国際開発庁(USAID)は2020年、持続可能な林業プロジェクトと平和維持部隊の再建を手始めとして、マライタ州を拠点とする開発プログラムに2500万ドル(約28億5400万円)を供与した。