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生物1306本の脚を持つ新種のヤスデが発見される
地球上で最も脚の多い生物が発見された credit: Paul E. Marek, Bruno A. Buzatto, William A. Shear, Jackson C. Means, Dennis G. Black, Mark S. Harvey, Juanita Rodriguez, Scientific Reports.
<オーストラリアの深さ60メートル地点で1306本の脚を持つ糸のようなヤスデが発見され、地球上で最も脚の多い生物として話題を集めている>
1306本の脚をもつ新種のヤスデが豪州で見つかり、2021年12月16日、「サイエンティフィック・リポーツ」でその研究成果が発表された。「ユーミリペス・ペルセフォネ」と名付けられたこの新種は、地球上で最も脚の多い生物として話題を集めている。
深さ60メートル地点で1306本の脚を持つヤスデを発見
ヤスデは英語で「1000本の足」を意味する「ミリピード」と呼ばれるが、1000本以上の脚を持つ種はこれまで見つかっていなかった。
既知で最も脚の多いヤスデは米カリフォルニア州で発見された「イラクメ・プレニペス」で、750本の脚がある。これに対して、西オーストラリア州で見つかった幅0.95ミリ、長さ9.57センチの「ユーミリペス・ペルセフォネ」は、330の環節と1306本の脚を持つ。
米バージニア工科大学、オーストラリア国立昆虫コレクション(ANIC)らの研究チームは、2020年8月、金やニッケルの採掘が盛んな西オーストラリア州南東部ゴールドフィールズ地区で、直径15センチ、深さ56.4~81メートルの掘削穴に生息するヤスデなどの地下性動物の試料を採取し、深さ60メートル地点で1306本の脚を持つ糸のようなヤスデを発見した。
研究チームでは、この個体を含め、2020年5月から8月にかけてオス2匹、メス2匹、幼体2匹を採集している。
土中での移動に適応した結果か
細長く伸びる「ユーミリペス・ペルセフォネ」は目や色素がない。円錐形の頭部には巨大な触覚と採食のためのくちばしがあり、暗い土中で触覚を用いて隙間を探し、柔軟な体節を使って狭い隙間にもうまく入り込んで移動する。
その餌生物は明らかになっていないが、おそらく菌類であるとみられる。また、オスはメスに比べて環節や脚が少なく、1306本もの脚を持つメスの標本「T147124」に対してオスの標本「T147101」の脚は778本であった。
「ユーミリペス・ペルセフォネ」は、ギボシヤスデ目に属する「イラクメ・プレニペス」と表現型が似ているものの、これとは別の分類群「ジヤスデ目」に属する。研究チームは「両種がそれぞれ土中での移動に適応した結果、細長く、多数の短い脚を持つよう、収斂進化したのではないか」と考察している。