最新記事

生物

1306本の脚を持つ新種のヤスデが発見される

2021年12月20日(月)17時30分
松岡由希子

地球上で最も脚の多い生物が発見された credit: Paul E. Marek, Bruno A. Buzatto, William A. Shear, Jackson C. Means, Dennis G. Black, Mark S. Harvey, Juanita Rodriguez, Scientific Reports.

<オーストラリアの深さ60メートル地点で1306本の脚を持つ糸のようなヤスデが発見され、地球上で最も脚の多い生物として話題を集めている>

1306本の脚をもつ新種のヤスデが豪州で見つかり、2021年12月16日、「サイエンティフィック・リポーツ」でその研究成果が発表された。「ユーミリペス・ペルセフォネ」と名付けられたこの新種は、地球上で最も脚の多い生物として話題を集めている。

深さ60メートル地点で1306本の脚を持つヤスデを発見

ヤスデは英語で「1000本の足」を意味する「ミリピード」と呼ばれるが、1000本以上の脚を持つ種はこれまで見つかっていなかった。

既知で最も脚の多いヤスデは米カリフォルニア州で発見された「イラクメ・プレニペス」で、750本の脚がある。これに対して、西オーストラリア州で見つかった幅0.95ミリ、長さ9.57センチの「ユーミリペス・ペルセフォネ」は、330の環節と1306本の脚を持つ。

matuoka20211220b.jpeg

credit: Paul E. Marek, Bruno A. Buzatto, William A. Shear, Jackson C. Means, Dennis G. Black, Mark S. Harvey, Juanita Rodriguez, Scientific Reports

米バージニア工科大学、オーストラリア国立昆虫コレクション(ANIC)らの研究チームは、2020年8月、金やニッケルの採掘が盛んな西オーストラリア州南東部ゴールドフィールズ地区で、直径15センチ、深さ56.4~81メートルの掘削穴に生息するヤスデなどの地下性動物の試料を採取し、深さ60メートル地点で1306本の脚を持つ糸のようなヤスデを発見した。

研究チームでは、この個体を含め、2020年5月から8月にかけてオス2匹、メス2匹、幼体2匹を採集している。

土中での移動に適応した結果か

細長く伸びる「ユーミリペス・ペルセフォネ」は目や色素がない。円錐形の頭部には巨大な触覚と採食のためのくちばしがあり、暗い土中で触覚を用いて隙間を探し、柔軟な体節を使って狭い隙間にもうまく入り込んで移動する。

その餌生物は明らかになっていないが、おそらく菌類であるとみられる。また、オスはメスに比べて環節や脚が少なく、1306本もの脚を持つメスの標本「T147124」に対してオスの標本「T147101」の脚は778本であった。

「ユーミリペス・ペルセフォネ」は、ギボシヤスデ目に属する「イラクメ・プレニペス」と表現型が似ているものの、これとは別の分類群「ジヤスデ目」に属する。研究チームは「両種がそれぞれ土中での移動に適応した結果、細長く、多数の短い脚を持つよう、収斂進化したのではないか」と考察している。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

デンソー、30年度に成長投資と株主還元で8兆円以上

ビジネス

商船三井、30年度の税引前利益目標2割引き上げ 2

ワールド

タイ財務相、グリーンエネルギーの重要性指摘 「コロ

ビジネス

英GDP、第4四半期は前期比+0.1%で速報値から
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 5
    アリサ・リュウの自由、アイリーン・グーの重圧
  • 6
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 7
    初の女性カンタベリー大主教が就任...ウィリアム皇太…
  • 8
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 9
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 10
    ビートルズ解散後の波乱...「70年代のポール・マッカ…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 5
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 6
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 9
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 10
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中