最新記事

中国不動産

緑地、易居、花様年、当代置業......中国・恒大集団発の不動産ドミノが始まった

What China's Recent Real Estate Company Woes Means for Its Economy

2021年10月14日(木)18時23分
アレックス・ルーハンデー
恒大集団本社

恒大集団本社周辺には建設中のビルと労働者が(9月26日、深セン) REUTERS/Aly Song

<GDPの28%を占めるという説もある不動産関連部門に端を発する危機は中国政府の手に負えない事態に拡大しかねない>

中国の不動産部門は混乱が続いており、ロイター通信によれば、格付け会社S&Pグローバルが新たに、緑地控股集団と易居中国の大手2社の信用格付けを引き下げた。

これに先立ち、世界最大級の負債を抱える中国2位の不動産開発業者、中国恒大集団が再び社債の利払いを見送っていた。過去3週間で3度目だ。

一部の専門家は、恒大集団が近いうちに経営破たんする可能性を警告。さらに花様年控股集団と当代置業の2社についても、破たんの可能性があるとしている。花様年控股集団は先日、信用格付けが「部分的なデフォルト(債務不履行)」に引き下げられ、当代置業は投資家に社債の償還延期を要請した。

不動産関連部門が中国のGDPに占める割合は28%にのぼるという推定もあり、中国において不動産業界は、経済を支える上で諸外国のそれよりも中心的な役割を果たしている。

コンサルティング会社ローディアム・グループの中国市場調査担当ディレクターで、米シンクタンク戦略国際問題研究所の客員研究員でもあるローガン・ライトは、不動産関連部門の重要性を考えると、今回の問題は中国政府の手に負えない事態にまで拡大しかねないと言う。

危機の連鎖は既に始まっている

「資金調達に苦慮する不動産開発業者が増えており、既に中国の金融市場に影響が広まっている」とライトは本誌に語った。「問題が制御可能だということと、実際に制御できることとは別だ。市場の混乱への対処が遅すぎれば、それが政策上のミスになりかねない」

中国政府にとって、問題はきわめて深刻だとライトは指摘する。習近平国家主席は最近、西洋式資本主義の影響からの脱却に向けた措置を取り、地方政府に対して恒大集団の経営破たんに備えるよう要請した。だがその間にも、不動産部門ではますます多くの問題が露呈している。

「中国の金融システム内では、しばらく前から信用ストレスが高まっていた」とライトは本誌に語った。「だが最近になって不動産部門の問題に注目が集まったことでそのストレスが増幅され、国内全域で不動産販売が減少した。このことが原因で、不動産開発業者がさらに資金繰りに窮し、デフォルト(債務不履行)が引き起こされる可能性が高い」

中国政府はかつて、主に銀行などが規制回避のために「シャドーバンキング(影の銀行)や非公式な機関」からの借り入れを行って、不動産開発業者などに迂回融資を行う行為を規制する方針を決定した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米テキサス州洪水の死者43人に、子ども15人犠牲 

ワールド

マスク氏、「アメリカ党」結成と投稿 中間選挙にらみ

ビジネス

アングル:プラダ「炎上」が商機に、インドの伝統的サ

ワールド

イスラエル、カタールに代表団派遣へ ハマスの停戦条
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚人コーチ」が説く、正しい筋肉の鍛え方とは?【スクワット編】
  • 4
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 5
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    「詐欺だ」「環境への配慮に欠ける」メーガン妃ブラ…
  • 8
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 9
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 10
    「登頂しない登山」の3つの魅力──この夏、静かな山道…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 8
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中