「公明党から国交大臣」に喜ぶ中国──「尖閣問題は安泰」と
岸田内閣が発足(10月4日、首相官邸) Yoshikazu Tsuno/REUTERS
尖閣や海保を管轄する国交大臣に必ず親中の公明党議員を充てることによって自公政権は中国にひざまずき、中国を安心させてきた。岸田内閣が対中強硬を装っても国交大臣が公明党である限り対中友好姿勢は変わらない。
民主党政権時代に大荒れとなった尖閣問題
国土交通省(国交省)が設立されたのは2001年で、尖閣諸島や海上保安庁(海保)などの管轄は国交省の下に置かれるようになった。
国交省設立以来、2009年9月に(当時の)民主党政権が誕生するまでは、尖閣諸島に関して大きな問題は起きいていなかったが、民主党政権になった翌年の2010年9月7日に尖閣諸島漁船衝突事件が起こり、中国各地で大規模な反日デモが展開された。
日本でも2010年2月2日に、田母神敏雄氏や水島総らを中心として結成されていた「頑張れ日本!全国行動委員会結成大会」が反中デモを起こしていた。
以下、「国土交通大臣と尖閣諸島問題」に関して時系列を作成してみたので、それをご覧いただきながら、考察したい。
図表:「国土交通大臣と尖閣諸島問題」に関する時系列
公の事実に基づいて筆者作成
2012年4月17日、東京都石原(元)知事は訪問先のワシントンにおける講演で、「所有者の同意を得て東京都が尖閣諸島を購入する予定である」と突然言い出して世界を驚かせた。これを受けて、当時の民主党政権であった野田政権の内閣官房長官は、「尖閣諸島について必要があれば(東京都ではなく)国が購入する可能性がある」と表明し、野田首相も4月18日の衆議院予算委員会で「国有化についてあらゆる検討をしたい」と答弁した。
すると中国政府から激しい抗議が外交問題として燃え上がったのだが、8月15日に香港の活動家が尖閣に上陸し日本政府に逮捕されたことをきっかけに8月19日から中国各地で大規模なデモへと発展していった。
そのような中、9月11日に、それまで私有地であった尖閣諸島の3島(魚釣島、北小島、南小島)が、日本政府に20億5000万円で購入され、「国有化」が正式に決まった。
そのあとに中国で展開された反日デモの激しさは、まだ記憶に新しいものと思う。
同年11月、習近平(当時はまだ国家副主席)は第18回党大会で中共中央総書記および中央軍事委員会主席に選出されることになっていたのだが、このままでは党大会開催も危ぶまれるほど、天安門広場もデモ隊で溢れた。
当時の胡錦涛国家主席は、デモが「反政府」に向かい始めたとして強引にデモの鎮圧に出て、なんとか党大会を開催できたものの、中国はその代わりに中国公船を大量に尖閣諸島接続水域や尖閣諸島領海内に派遣した。こうでもしなければ、反日デモに参加した若者たちを黙らせることができなかったからだ。