リス一匹一匹に性格があった 「大胆なリス」「社交的なリス」...米研究で解明
このほか、社交性の高いリスも同様の地点に好んで姿を現す傾向がみられたという。キンイロジリスは全体として単独行動が多く、あまり社会性の高い部類のリスではない。そのなかでも比較的社交性をもった個体は、繁殖に有利なのではないかと考えられている。
性格が行動に及ぼす効果は、個体レベルにとどまらないようだ。研究チームは、社交性の高い個体が多い集団ほど繁殖範囲を広げやすいなど、コミュニティレベルで利点をもたらしている可能性もあると述べている。
近年注目される動物の個性
英ガーディアン紙は本件を「人間のような個性がリスに発見された」と報じた。記事は「恐れ知らず、攻撃的、運動が得意、そして人懐っこい。野鳥のえさ台からナッツを拝借しているのをみた人なら、誰もが知っていたことだろう」と述べ、身近な動物の知られざる一面を伝えている。
動物の個性という研究分野は比較的新しいものだが、近年その重要性が注目されつつある。アリパーティ博士は同校によるプレスリリースのなかで、「野生動物への取り組みにおいて個性を考慮することは、たとえば人間の活動による住みかの変化や破壊などによって環境が変化した際、その反応を予測するうえでとくに重要となる可能性があります」と述べている。
ちなみにアリパーティ博士を研究へ駆り立てたのは、他ならぬUCデービス校の環境だったようだ。キャンパスには多くのリスが生息し、マスコット的存在になっている。研究対象となったリスとは別種だが、彼女は日々リスと触れ合ううちに、リスにも個性があるのではないかという着想に至ったようだ。
まるで人間と同様に個性があるという発見は近年、リス以外でも行われている。フィンランドの動物行動学者たちが行った研究では、猫の個性と行動を7タイプで類型化できることが明らかになった。
同研究では、4300匹以上の猫の行動データをアンケートを通じて収集・分析した。この結果、「恐れ」「活動性」「人への攻撃性」「人との社会性」「猫との社会性」「グルーミング」「トイレ問題」の7つの項目から個性を分析できるという結論が得られたようだ。
猫以外にも、より広範囲の動物が個性をもっているとの指摘もある。サイエンス・アラート誌は、これまでにイソギンチャク、魚、鳥、哺乳類、クモ、トカゲなど幅広い種において個性や行動パターンの違いが確認されてきたと指摘する。さらに広く、おおむね動物全般が個性をもつと考える専門家も存在する。
ペットと長く付き合うと性格がみえてくるのと同じように、野生動物にも一匹ずつ違った行動パターンがあり、個性豊かな生活を送っているようだ。