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イグノーベル賞

サイを逆さ吊りにする実験結果がイグノーベル賞を受賞

2021年9月21日(火)17時20分
松岡由希子

サイを逆さ吊りにしたときの肺や代謝への影響を検証する実験が「イグノーベル賞」を受賞した─WWF Rhino Airlift 2019- YouTube

<米コーネル大学を中心とする国際研究チームは、12頭のクロサイに鎮静剤を投与し、約10分間クレーンから足で宙づりにする場合と横向きに寝かせる場合で呼吸機能や代謝を比較した>

1991年に米ユーモア系科学雑誌「アナルズ・オブ・インプロバブル・リサーチ」によって創設された「イグノーベル賞」は、ノーベル賞のパロディー版としても知られ、人々を笑わせ、考えさせたユニークな研究プロジェクトを毎年表彰している。2021年9月には、サイを逆さ吊りにしたときの肺や代謝への影響を検証する実験が「イグノーベル賞」を受賞した。

サイは生理学的に繊細で、深刻なストレスをもたらすおそれ

世界には5種のサイが現生しているが、生息地の破壊や角を目当てとする密猟などにより、いずれも絶滅の危機に瀕している。たとえば、野生のシロサイの個体数は2万頭と推定され、クロサイはわずか5000頭にまで減少している。

サイの保護活動として、除角や人工授精による繁殖のほか、保護区への移植が行われている。陸路でアクセスしづらいエリアにサイを輸送する際は、足から宙づりにしてヘリコプターで空輸する手法がしばしば用いられてきたが、この輸送方法がサイにどのような影響を及ぼしているのかは明らかにされていなかった。一般に、ゾウやキリン、サイなどの大型哺乳類は生理学的に繊細で、捕獲から移植までのプロセスが深刻なストレスをもたらすおそれもある。

米コーネル大学を中心とする国際研究チームは、12頭のクロサイに鎮静剤を投与し、約10分間クレーンから足で宙づりにする場合と横向きに寝かせる場合で呼吸機能や代謝を比較した。

足で宙づりにしても呼吸機能を損なうことはなかった

2021年1月18日に学術雑誌「ジャーナル・オブ・ワイルドライフ・ディジーズ」で発表された研究論文によると、足から宙づりにしたときのクロサイの動脈血酸素分圧(PaO2)の平均値は42mmHg(ミリ水銀)で、横たわったときよりも4 mmHg高かった。

また、足から宙づりにしたときの動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)の平均値は52mmHgで、横たわったときよりも3 mmHg低かった。なお、二酸化炭素排出量(VCO2)の平均値はいずれの体勢でも2mL/kg/分であった。つまり、クロサイを足から宙づりにしても、横向きに寝かせる場合と比べて呼吸機能を損なうことはなく、むしろガス交換はわずかに増加した。

2021年のイグノーベル賞では、この研究成果のほか、歩きながらスマートフォンを操作する「歩きスマホ」の人が歩行者集団に与える影響を明らかにした京都工芸繊維大学の村上久助教らの研究チームなど、合わせて10グループが表彰されている。

WWF Rhino Airlift 2019

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