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独立の祝砲に沸くタリバンに中国はどう向き合うのか?

タリバン

タリバンが実権掌握 米軍撤退完了(8月31日) REUTERS

米軍が最終撤退した瞬間、タリバンは独立の雄たけびを上げて祝砲を鳴らし続けた。中国の第一報はこの場面と、国連安保理対タリバン決議に対する中露の棄権だった。中国は今後どのようにタリバンと向き合うのか?

アフガンの夜空に轟く祝砲を報道した中国

8月31日未明、米軍を載せた最後の一機がカブール空港を飛び立った瞬間、カブール空港はタリバンの管轄下に入り、タリバン軍は勝利の雄たけびを上げた。

曳光弾(えいこうだん)(発光体を内蔵した特殊な弾丸)や機関銃などによる祝砲が夜空に向かって打ち上げられ、それは2時間ほど続いたという。

「20年間に及ぶアメリカの侵略軍から解放され、独立した喜びに沸いています!」と中国の中央テレビ局CCTVは、興奮気味に伝えていた。

中国がタリバンの勝利を我がことのような姿勢で報道するのは、言うまでもないが「侵略軍」と中国が位置付ける軍隊が米軍だからだ。

中国ではこのたびのアフガン戦争(2001年~2021年)だけでなく、朝鮮戦争(1950年~1953年)から始まって、ベトナム戦争(1955年~1975年)、イラク戦争(2003年~2011年)など、「アメリカの行くところ戦争あり」という報道の仕方をしており「世界の平和を乱しているのは誰か?」ということを言いたいからで、「国際秩序を乱しているのは中国だ」というアメリカの批判に対抗したいものと見られる。同時にウイグル問題や香港問題などに関して「他国に干渉するな」ということを主張したいからでもあろう。

これらに関しては毎日のように報道しているので、この日の報道は、その姿勢の一環だ。

中国が国連安保理での対タリバン決議案を棄権した理由

今般の米軍完全撤退に関して、タリバンの祝砲とともに中国の報道が重視したのは8月30日に国連安保理で開催された緊急会議に関してだった。会議ではタリバンに対し、アフガン人と全外国人の「安全で秩序あるアフガン出国」を認めることなどをタリバンに約束させようとする米英仏提案の決議案を採択した。15理事国の内13ヵ国が賛成したが、中国とロシアは棄権した。

中国とロシアは、それぞれ棄権理由を説明したが、CCTVでは中国の国連大使である耿爽の主張を報道した。詳細は「中華人民共和国常駐国連代表団」のウェブサイトにある。その概略を以下に示す

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