波間に消えた第8の大陸「ジーランディア」、想定より5億年古かったことが判明
ジルコンの抽出は、花崗岩を物理的に砕くことから始まる。ある程度までは機械的にふるい分けることができるが、採集的には顕微鏡を覗き込みながら手作業での根気強い分類が必要となる。博士たちは窓のない地下室の研究室に閉じこもり、粒子が風で舞わないよう、ピンセットの先に鼻の脂をつけて分別作業を続けたという。
11億年前の地球の歴史
これまでの研究により、ジーランディアは超大陸から分離し、その後海底に消えていったことがわかっている。今から5億年ほど前、地球上にはゴンドワナ大陸と呼ばれる超大陸が存在した。ゴンドワナ大陸は今から3億年前の時点で北アメリカ大陸およびユーラシア大陸と衝突し、パンゲア超大陸を形成する。その後パンゲアは徐々に分裂し、現在の主要な大陸を形成していった。
今からおよそ8500万年前ごろになると、ジーランディアはこのパンゲア大陸から完全に分離する。米CNNはこの時点で、ジーランディアには豊かな熱帯雨林が広がり、恐竜たちが生息していたはずだと紹介している。そこから時を経て環太平洋火山帯(リング・オブ・ファイア)が出現するが、この時期にジーランディアの大部分が海底に消えていった。
近年ではジーランディアは独立した大陸として扱われつつあるが、10億年超という年齢が今回明らかになったことで、この認識にさらに強固な根拠が加わることになりそうだ。現在存在する他の大陸はすべて10億年以上前の古い岩石を含んでいるが、ジーランディアからのみこれまで検出されてこなかった。
ターンブル博士はGNS社のプレスリリースのなかで、「今回の新しい研究により、大陸のチェックリストすべてに印が入りました。私たち(ニュージーランドの人々)が大陸の上で暮らしているということに、もはや疑念はありません」と語っている。
今回の研究成果はまた、ゴンドワナよりもさらに古く約11億年前に形成されたとされる、ロディニア超大陸の変化を解き明かす手がかりにもなるという。地下室で砂粒をより分けた地道な研究が、壮大な地球の過去に光を投げかけることになりそうだ。