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宇宙中国の衛星が3月に軌道上で突然分解......その理由がようやくわかった
宇宙でのロケット本体の爆発のイラスト ESA
<中国の気象衛星「雲海1号02」が、2021年3月18日に分解した。ロシアの偵察衛星から放出されたスペースデブリと衝突した可能性がある...... >
2019年9月25日に酒泉衛星発射センターから打ち上げられ、高度760〜787キロの軌道を周回していた中国の気象衛星「雲海1号02」が、2021年3月18日7時41分(協定世界時)に分解(ブレイクアップ)した。
米国宇宙軍第18宇宙管制飛行隊(18SPCS)は、3月22日、この事象をツイッターで公表し、「『雲海1号02』の分解に関連するスペースデブリ(宇宙ゴミ)21個を追跡して、原因究明にあたっている」と報告した。
衝突によって発生した37個のデブリを確認
米国宇宙軍のオンラインカタログ「スペース-トラック」では、スペースデブリの観測データが登録されている。米ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの天体物理学者ジョナサン・マクダウェル博士は、8月15日、デブリ「48078」のデータに「衛星と衝突した」旨が付記されていることに気づいた。「48078」は、1996年9月にロシアの偵察衛星「ツェリーナ-2」を打ち上げた「ゼニット2ロケット」から放出されたスペースデブリだ。
マクダウェル博士は軌道データを分析し、「雲海1号02」が分解したとされる3月18日7時41分に「48078」と「雲海1号02」が1キロ以内に接近していたことを突き止めた。
このことから、「48078」に衝突したのは「雲海1号02」である可能性が高い。マクダウェル博士の分析によれば、この衝突によってこれまでに37個のデブリが確認されており、おそらくより多くのデブリが発生したとみられている。なお、「雲海1号02」は分解後も制御下にあり、軌道修正も行われている。
地球周回軌道には約1億3000万個のスペースデブリが存在する
地球を周回する物体同士の衝突はこれまでにも報告されている。2009年2月10日にはシベリア上空約800キロで米国の通信衛星「イリジウム33号」とロシアの軍事通信衛星「コスモス2251号」が衝突し、地球低軌道に大量のスペースデブリが発生した。
2020年1月には、ともに運用が終了している天文観測衛星「アイラス(IRAS)」とアメリカ空軍が打ち上げた試験衛星「GGSE-4」が米ピッツバーグ上空で接近し、衝突が危惧された。
欧州宇宙機関(ESA)によると、2021年8月時点で地球周回軌道には約1億3000万個のスペースデブリが存在する。これらは高速で移動しており、宇宙探査機やその機器などに損傷を与えるおそれもあると懸念されている。