女子学生を美醜でランク付けした中国「アート」作品のひどい言い分
Museum Removes 'Uglier & Uglier' Exhibit That Ranked Women's Looks
「どの女性も平等にモノ扱いした」からいいのだ、と問題のアーティストは語ったという(写真はイメージ) FilippoBacci-iStock
<言論の自由がないのにこれはいいの?と思うような問題作品を中国の権威ある美術館が展示した。しかもこのアーティストは確信犯だ>
中国・上海の現代アート専門の美術館が、ある男性アーティストの映像作品を展示したことで厳しい批判にさらされている。撮影された女性たちを「美しさ」の順にランク付けする作品だったからだ。
問題となったのは宋拓(ソン・ター)の作品「校花」で、「Uglier and Uglier(もっと醜く)」という英語タイトルが付いている。2013年にとある大学の構内で通りがかった女子学生たちを撮影し、宋の目から見て美しい順に並べて7時間の動画に編集したものだ。
この作品が、中国でもっとも権威のある美術館の1つである現代美術ターミナル(OCAT)上海館で展示された。
宋は作品についてこう解説していた。「もしキャンパスの女王を見たいなら、できるだけ早い時間に美術館にきたほうがいい。時間が遅くなると、生き地獄と化す」
だがOCAT上海館がこの展示の宣伝を大手ソーシャルメディアの微信(ウェイシン)に投稿したところ、世間から寄せられた反応は厳しいものだった。投稿は削除したものの炎上は止められなかったと、香港の英字紙サウスチャイナ・モーニングポストは言う。
美醜による分類やランク付けへの異常なこだわり
ソーシャルメディアでは展示を批判するコメントが相次いだ。「この美術作品は侮辱的なだけでなく、個人の肖像権を侵害している。女性たちは自分が撮影されているとは知る由もなかった」という人もいれば、宋は芸術家どころか人間と呼ぶにも値しないと断じる人もいた。この現代社会において「どうやったら平気な顔で恥ずかしげもなく女性をモノ扱いできるんだ?」というコメントもあった。
OCAT上海館は18日に謝罪文を中国版ツイッターの新浪微博(シンランウェイボー)に投稿し、作品をすぐに撤去すると約束した。そして「批判を受けてから、われわれはこの美術作品の内容とアーティストの解説について再吟味した。(そして)この作品が女性を蔑視しており、撮影方法にも問題があるということが判明した」と述べた。
また同館は「多様性を支持する美術館として、われわれはこれを戒めと受け止め、サービス改善に努めるとともに、あらゆる人を共感を持って扱っていく」とも述べた。
宋の作品が批判を浴びたのはこれが初めてではない。2013年9月に武漢でファッションショー形式で行われたライブイベントは、44人の女性ボランティアが、宋が美しいと思う順番に舞台を歩くという趣向だった。つまり彼から見て最も魅力に欠ける女性が最後に登場することになる。