最新記事

生物

1億8000万年前から生き残るクモヒトデの新種が発見される

2021年6月21日(月)19時30分
松岡由希子

1億8000万円もの年月をかけてかすかに進化し続けて今日に至る J. Black/University of Melbourne

<ニューカレドニア島近くで採集された生物が、クモヒトデの新種であることが明らかとなった>

南西太平洋のニューカレドニア島から200キロ東に位置する水深500メートルの海山「バン・デュラン」の頂で2011年9月13日にフランス国立自然史博物館(MNHN)によって採集された生物が、クモヒトデの新種であることが明らかとなった。

約1億8000万年前に最も近縁なクモヒトデから分化

豪ミュージアムズ・ビクトリアの研究チームが2021年6月16日、一連の研究成果を「英国王立協会紀要B」で発表した。

「オフィオジュラ」と呼ばれるこの新種は、鉤や棘で覆われた長さ10センチの腕を体から放射状に8本伸ばし、顎には鋭い歯が並んでいる。

オフィオジュラは、シーラカンスやムカシトカゲのような古代系統の最後の既知種とみられる。研究チームは、様々な海洋種とDNAを比較し、「オフィオジュラは約1億8000万年前に最も近縁なクモヒトデから分化した」と結論づけた。

つまり、その最も近い共通祖先(MRCA)は三畳紀または前期ジュラ紀に生息していたことになる。また、オフィオジュラは、フランス北西部フジュロルで発掘された1億8000万年前の前期ジュラ紀の化石骨ともよく似ていた。

かすかに進化し続けて今日に至る

オフィオジュラは1億8000万円もの年月をかけてかすかに進化し続けて今日に至る。研究チームは、オフィオジュラのように、かつて広まっていたが、現在はより狭い領域に限定されている種を「パレオ-エンデミズム(古エンデミズム)」と呼ぶ。

熱帯海域の水深200〜1000メートルの大陸縁辺部や海山は「パレオ-エンデミズム」の中心だ。何百年もの間、ほぼ原始的な形態のまま生息し続けている海洋生物が多くみられる。

研究論文の筆頭著者でミュージアムズ・ビクトリアの海洋生物学者ティム・オハラ博士は、2021年6月30日から8月13日までの45日間にわたり、これまでほとんど明らかにされてこなかったインド洋東部のクリスマス島やココス諸島周辺の海山を豪海洋調査船インベスティゲーター号で探査する計画だ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ウクライナ大統領がUAE・カタール訪問、防衛協力で

ワールド

全米で反トランプ集会 移民政策やイラン戦争に抗議 

ワールド

米国防総省、イランで数週間にわたる地上作戦を準備=

ワールド

日曜●アングル:トランプ氏製造業政策の「光と影」、
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度を決める重要な要素とは?
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?...「単なるホラー作品とは違う」「あの大作も顔負け」
  • 4
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    ヒドラのように生き延びる...イランを支配する「革命…
  • 9
    ウィリアム皇太子が軍服姿で部隊訪問...「前線任務」…
  • 10
    「酷すぎる...」ショッピングモールのゴミ箱で「まさ…
  • 1
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 4
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 5
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 6
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 9
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 10
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中