火星着陸の偉業に汚点?中国が公開した着陸動画がNASAにそっくり!
China Mars Rover Animation Appears to Copy NASA Video Shot for Shot
やっちゃったかもしれない──祝融のCG動画(左)と2011年のNASA動画 CHINA NEWS SERVICE/NASA
<NASAが2011年に公開した「キュリオシティ」のCG動画にそっくりだと中国でネットが炎上>
5月15日、中国の火星探査車「祝融」を搭載した探査機「天問1号」が火星に着陸した。旧ソ連、アメリカに次ぐ3カ国目の着陸成功で、歴史的な偉業といえる。だが、中国の航空当局がその後公開した着陸の過程を示すCG動画が、米NASAの古い映像にそっくりだと物議を醸している。
中国の国営メディアが放送した2分間の動画には、着陸機が周回機から切り離され、機体を制御しながら火星の表面に着陸する様子など、幾つかの重要な瞬間が描写されている。
国営通信社の中国新聞によれば、動画を作成したのは、中国国家航天局(CNSA)の主要な請負業者である中国航天科技集団公司(CASC)の第5研究院だ。
動画は「祝融」が火星着陸に成功した翌日に公開されたものだが、これを見た人々の間から、2011年にNASAのジェット推進研究所(JPL)が制作したCG動画と似ている部分が多くあると指摘する声があがっている。
JPLが制作した動画は、NASAの火星探査機「キュリオシティ」が2012年8月に火星着陸を予定していたなか、その前年である2011年6月に公開されたものだ。今回中国が公開した「祝融」着陸のCG動画は、画質はこのNASA動画よりも優れているものの、数多くの場面がこの動画から「着想を得た」もののように見える。
「許されない盗用」だと批判噴出
2つの動画を比べてみると、エフェクトやタイミング、構図やライティングがよく似ている。探査機そのものの外見は異なるものの、動画のアングルや、着陸機(探査機)がパラシュートを開いて降下・着陸する部分の動画の組み立てなど、複数の箇所がまったく同じに見える。
中国の一部ソーシャルメディア・ユーザーの間から、この「偶然の一致」についてのコメントが噴出。NASAの動画を参考にした、という程度の説明は彼らには通用せず、「盗用だ」と非難する声まであがっている。
あるユーザーは、「NASAのJPLが2011年に公開した動画をコピペしただけの動画だ。こんな動画を公開することは、中国の宇宙開発計画を貶める行為だ」と投稿。
別のユーザーは「こんな風に構成をまるごとコピーするなんて許されない!」と書き込んだ。
動画が「パクり」かどうかはともかく、中国の探査機が火星着陸に成功したことが、世界も認める偉業であることは確かだ。
中国の古代神話に登場する火の神から名前をとった「祝融」は、2020年7月に「天問1号」に搭載されて打ち上げられた。祝融には合わせて13の装置が搭載されており、火星の北半球にあるユートピア平原で地質調査を行う予定。なんらかの発見があれば、同じく最新鋭の火星探査機「パーシビアランス」で探査を行っているNASAの科学者たちと共有される見通しだ。