最新記事

就職

コロナ禍の新人をどう育てればいいのか、先輩社会人としてできる4つのこと

SUPPORTING NEW GRADS

2021年5月28日(金)17時35分
リンゼー・ポラック(初期キャリア形成専門家)

女子のプログラミング教育を推進するNPOのガールズ・フー・コードを立ち上げたレシュマ・サウジャニは、インスタグラムで自分の失敗談をシェアしている。ある日の投稿には、「勇気を出して。完璧でなくていいから」とある。「怖いと思っていることにこそ挑戦するべき。失敗しても人生の終わりではない」

筆者の場合、家族ぐるみで付き合いのある人が重要な仕事を紹介してくれたとき、お礼状を書き忘れるという失敗をした。フリーランスの納税方法を知らなくて大変なことになったこともある。大学の同級生と自分を比べたり、キャリアプランに悩むばかりで、なかなか仕事に応募しなかったことも後悔している。

■有給インターンを雇う

コロナ禍という歴史的な荒波に見舞われた若者たちに同情するのもいいが、仕事を与えるのはもっといい。21年卒生は、リアルな仕事の経験(と所得)を必要としている。フルタイムでは無理でも、有給のインターンや見習いは雇えないか。

最近は多くの企業がインターンを募集しているが、全米大学就職協議会(NACE)によると、営利企業のインターンの43%は無給だ。これはよろしくない。NGOのペイ・アワ・インターンズや、短期インターンを提供するパーカー・デューイなどに問い合わせれば、有給インターン制度の設け方を教えてくれる。

ただし、有給だからといって、インターンに厳しく当たるのは禁物だ。彼らは具体的なタスクをこなす上で、きめ細やかな研修を必要としている。コミュニケーションやチームワークなど成功のカギとなる「ソフトスキル」を学ぶ機会を提供しよう。

あなたが仕事をしているところを見せるのも、勉強になるはずだ。筆者が初めてNGOでインターンをしたとき、上司が資金調達の電話をその場で聞かせてくれた。相手に反論されたり拒絶されたときの対処法は、今もとても参考になっている。

■話を聞く

コロナ禍での大学生活という、21年卒生のユニークな経験にじっくり耳を傾けることも大きなサポートになる。筆者のいとこのオリビアは20年卒生で、とても印象的な話をしてくれた。

「区切りとなるイベントがなかったと、今でもよく友達と話す」と、彼女は言っていた。「最後の授業も卒業式もなかった。気持ちを切り替える機会もなく、ある日突然フルタイムで働くようになり、コンピューターの前に1日12時間座っている生活が始まった。大学でできなかった経験を取り戻すことはできない」

先輩社会人には、彼らの失われた経験の埋め合わせはできないが、彼らが独りぼっちではないと知らせることはできる。将来振り返ったとき、筆者も、あなたも、大変な時代に新社会人の手助けができたと思えることを願っている。

ニューズウィーク日本版 ISSUES 2026
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、ウ和平交渉で立場見直し示唆 トランプ氏

ワールド

ロ、ウ軍のプーチン氏公邸攻撃試みを非難 ゼレンスキ

ワールド

中国のデジタル人民元、26年から利子付きに 国営放

ビジネス

米中古住宅仮契約指数、11月は3.3%上昇 約3年
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 5
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 6
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 7
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中