最新記事

アナログ

コロナ禍でレコード盤がCD売上を上回る勢い、その理由は......

2021年4月5日(月)19時00分
松丸さとみ

コロナ禍でレコードが人気に......チェコ・プラハのレコード店 REUTERS/David W Cerny

<レコード盤の人気が復活している。売上高は2020年、米国でCDの売上高を追い抜いており、英国でも2021年にはCDの売上高を上回る......>

ライブに行けず浮いたお金でレコード購入

かつてCDは、音楽記憶媒体としてもっとも愛用された時期もあったが、最近はストリーミング・サービスが主流になってきたため、CDの売り上げは減少の一途をたどっているという。一方で、復活の兆しを見せているのが、レコード盤だ。レコード盤の売上高は2020年、米国でCDの売上高を追い抜いており、英国でも2021年にはCDの売上高を上回るとみられている。

ガーディアン紙によると、英国では2020年、レコード盤の売上高が前年比30%増となる8650万ポンド(約132億円)に達した。この金額は1989年以来最大だという。2020年は新型コロナウイルス感染症の流行により、音楽を聴きにライブ会場に足を運べなかったことで、音楽ファンは浮いたお金をレコード盤の購入につぎ込んだというのがその理由だとみられている。

一方で、CDの売上高は、前年比18.5%減の1億1500万ポンド(約176億円)だった。売り上げ枚数は、1600万枚。

売り上げ枚数だけを見ると、レコード盤はCDと比べてかなり少なく、2020年は480万枚だった。とはいえこの数字は、過去30年で最多となるという。

2020年に一番売れたレコードは

英国レコード産業協会(BPI)はガーディアンに対し、2021年にはレコード盤の売上高が、CDの売上高を上回るとみられていると予測を述べた。レコード盤の売上高がCDを上回るのは、1987年以来になるという。

レコード盤の人気復活をけん引しているのは、デジタルに囲まれて育った20代だと言われている。親が聞いていたレコードを見つけたのがきっかけだったという理由や、レコードの方が音が良い、カッコいいなどの理由があるようだ。

ストリーミングは、聴きたいときにすぐに聴ける便利さが人気だ。しかしプレーヤーが必要になるレコード盤をわざわざ買う理由には、好きなアーティストの作品を現物として所有したいというファン心理もあるようだ。また、ジャケット・アートやライナーノーツの存在も、ストリーミングだけでなくあえて現物を買いたいと思わせる要因になっていると、BPIは分析している。

英国で2020年にもっとも売れたレコードのLP盤は、イングランド出身のロックバンド、フリートウッド・マックが1977年に発表したアルバム『噂』だった。その他、オアシスの『モーニング・グローリー』(1995年発表)といった古いものや、ハリー・スタイルズの新作『ファイン・ライン』などが売れているという。

なおフリートウッド・マックの『噂』は、レコード盤のみならずアルバム自体が、2020年によく売れた。米ニューヨーク・タイムズ紙によると、昨年10月にビルボードのアルバムチャートの7位にランクインし、42年ぶりに同チャートのトップ10に返り咲いた。売れた理由としては、『噂』に収録されている曲『ドリームズ』をBGMにしたTikTok動画が、昨年9月にバズったことがある。

@420doggface208

Morning vibe #420souljahz #ec #feelinggood #h2o #cloud9 #happyhippie #worldpeace #king #peaceup #merch #tacos #waterislife #high #morning #710 #cloud9

Dreams (2004 Remaster) - Fleetwood Mac
今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、今後5年間で財政政策を強化=新華社

ワールド

インド・カシミール地方の警察署で爆発、9人死亡・2

ワールド

トランプ大統領、来週にもBBCを提訴 恣意的編集巡

ビジネス

訂正-カンザスシティー連銀総裁、12月FOMCでも
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 5
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 6
    『トイ・ストーリー4』は「無かったコト」に?...新…
  • 7
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 8
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 9
    文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗…
  • 10
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 9
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 10
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中