最新記事

ビットコイン

ビットコイン価格は、まだ割安? 将来的な価値と無形資産を探る

2021年3月18日(木)17時55分
千野剛司(クラーケン・ジャパン代表)

TARIK KIZILKAYA/ISTOCK

<投資家はなぜ1BTCに600万円も払うのか。記事前半に続き、ビットコインの「本源的な価値」を探る>

※記事前半:ビットコインに「600万円の価値」があると米大手企業が認める理由とは

■将来得られる価値
株式の場合、「ディスカウントキャッシュフロー(DCF)」や「配当割引モデル(DDM)」に見られるように将来得られるキャッシュフローを現在価値に直すことで、「本源的な価値」を出す方法がある。DCFは、企業が将来獲得すると期待されるキャッシュフローの金額、DDMは株式を持つことで得られる配当金を市中金利などで割り引いた値だ。もし時価総額がDCFやDDMから導き出される現在価値を下回っていれば、その株式は割安と言える。

また、債券の場合、将来支払われる利子を考慮に入れて現在価値を出す。ビットコインには、株式や債券のように将来生み出す価値があると考えられるのだろうか?

注目すべきは、ビットコインのオープンソースのコードだ。オープンソースであるため、ビットコイン保有者は、ビットコインの将来像や理想の姿で意見が割れた場合、ハードフォーク(分裂)することで新たに生まれるコインに対する権利を主張することができる。ビットコインを保有することで、イノベーションがもたらす将来的な価値の恩恵を受けられると考えられるのではないだろうか。

例えば、2017年にビットコインのハードフォークでビットコインキャッシュが誕生した際、保有していたビットコインと同数のビットコインキャッシュが配布された。その後、ビットコインを保有することで、ビットコインキャッシュの他、ビットコインダイヤモンド、ビットコインゴールド、ビットコインプライベート、ビットコインSVの保有権利を主張できた。

2017年末〜2020年9月の間にビットコインを保有していた場合、ハードフォークによる恩恵という将来の価値を考えれば、以下のような4つのパターンで現在価値が出せていたことになる。

①ビットコインだけを保有
 ・・・1万225ドル
②ビットコインとビットコインキャッシュ、ビットコインダイヤモンド、ビットコインゴールド、ビットコインプライベート、ビットコインSVを保有
 ・・・1万595ドル(3.7%の利回り)
③ビットコインと上記のコイン全てを30日間で売却 
 ・・・1万1005ドル(7.6%の利回り)
④ビットコインと上記のコイン全てを30日間で売却してビットコインに再投資
 ・・・1万2405ドル(21.3%の利回り)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米金利変更急がず、関税の影響は限定的な可能性=ボス

ワールド

中印ブラジル「ロシアと取引継続なら大打撃」、NAT

ビジネス

NY外為市場=ドル急伸し148円台後半、4月以来の

ワールド

トランプ氏「ウクライナはモスクワ攻撃すべきでない」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パスタの食べ方」に批判殺到、SNSで動画が大炎上
  • 2
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機…
  • 5
    「このお菓子、子どもに本当に大丈夫?」──食品添加…
  • 6
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中…
  • 7
    約3万人のオーディションで抜擢...ドラマ版『ハリー…
  • 8
    「オーバーツーリズムは存在しない」──星野リゾート…
  • 9
    「巨大なヘラジカ」が車と衝突し死亡、側溝に「遺さ…
  • 10
    歴史的転換?ドイツはもうイスラエルのジェノサイド…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 9
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中