フランス・リヨン市、環境派市長「給食を肉なしメニューに統一」で大論争に
政策批判ではなく、政党批判?
両サイドの言い分を聞くに、中道右派の「肉なし単一メニュー給食」批判は、少々過剰反応に聞こえる。極めつけは、複数のメディアが指摘するように、同じ措置を前市長ジェラール・コランも講じていたという事実だ。最初のロックダウン解除時、2020年5月から7月まで、コラン前市長は今回と全く同じ理由で、学校の給食を肉なしのメニューに統一した。だが、共和国前進に属するコロン元市長の決定には、当時誰一人として非難の刃を向けなかったのだ。
だが、コロン前市長は、政策を踏襲したドゥセ市長を擁護する気はまったくないようだ。というのも、肉なし単一メニュー給食が始まった2月22日、リヨン市役所の前では約100人の農業従事者が肉なし給食反対のデモを行ったのだが、コロン元市長は、このデモ隊に支援の言葉を送っている(20minutes、2/22)。
こうした論争にニュース専門局BFMTV (2/22)は、ダルマナン内相の「多くの子供たちは、学校給食でしか肉を食べられない」という発言を取り上げ、2016年~2019年に行われた調査結果に基づき、富裕層よりも貧困層のほうが肉の摂取量が多いことを報じている。つまりダルマナン内相の批判の根拠には、少なくとも柱が一本足りないことになる。
中道右派内部でも意見が分かれる
同じ中道右派内でも、意見が皆一致するわけではない。少なくとも、オリヴィエ・ヴェラン厚生相は、22日の時点ですでに本件に関して「議論の必要はないと考える」と発言している。
同じ共和国前進に属する政治家間でも意見は割れている。例えば、バルバラ・ポンピリ エコロジー移行大臣は、ダルマナン内相に対し「菜食主義の食べ物が偏った食事だという」決まり文句を残念に思うと、22日異議を唱えた。そのポンピリ大臣に対して、共和国前進のスポークスパーソンを務めるジャン=バティスト・モローが「子供の成長に不可欠な栄養素は肉に含まれている。(中略)実用主義はあなたには理解できない概念なんでしょう」とツイート。さらにそのモローの発言を、国民議会のユーグ・ランソン副議長が「独断主義」と批判するといった具合だ。政敵EELVをやり込めるつもりが、思いがけず自党のほころびを露呈したとも言えそうだ。