最新記事

動物

アメリカの航空会社、「感情支援動物」の機内同伴、犬だけに制限へ

2020年12月10日(木)16時00分
松丸さとみ

米国では、これまで乗客は必要であれば感情支援動物を無料で客室内に同伴できる権利が与えられていた......Jaimie Tuchman-iStock

<米国ではこれまで、運輸省が定める航空アクセス法により、乗客は必要であれば感情支援動物を無料で客室内に同伴できる権利が与えられていたが、変更に......>

精神面をサポートする動物、今後は介助犬のみに

米国の航空会社はこれまで、精神的な支えになる動物を無料で客席に連れて行くことを許可してきたが、規則が変更されることになり、今後は無料で同伴できるのは介助犬のみとなる。米運輸省が発表した。

精神的な支えになる動物は、航空会社によって日本語での呼び方はさまざまだが、「感情支援動物」や「介助動物」などと呼ばれ、精神面・心理面で不安のある人にとって支えや癒しとなる動物を指す。

米国ではこれまで、運輸省が定める航空アクセス法により、乗客は必要であれば感情支援動物を無料で客室内に同伴できる権利が与えられていた。動物は、対象となる人の精神を支えるための訓練などを受けている必要はなかった。

しかし運輸省はこのほど、同法で感情支援動物について定める項目を変更。今後は、精神面のサポートとして無料で客室に同伴できるのは「介助動物」のみとなる。また「介助動物」の定義は、「障害のある人を支援する目的で訓練を受けた犬」となり、「感情支援動物」は「介助動物」とみなされなくなる。

USAトゥデイによると、細かい方針については航空会社が定めることになっているが、航空アクセス法に準拠する必要がある。今回の変更は、連邦公報で告示されてから30日後に発効とされている。告示日は公表されていないが、米ニューヨーク・タイムズ(NTY)は「来月施行」と報じている。

制度を悪用する人たち

感情支援動物をめぐっては、これまで多くの議論がなされてきた。米CNNによると航空各社は、感情支援動物の問題にもっと取り組むよう運輸省に求めてきた。というのも、通常のペットを無料で同伴するために、感情支援動物として申請するケースが懸念されたからだ。ユナイテッド航空の場合、一定の条件を満たせばペットの犬または猫を客室内に連れて行けるが、代金は125ドル(約1万3000円)となる。

英紙ガーディアンは2019年、通常のペットを感情支援動物として客室内に持ち込む人たちについて報じていた。ペットを感情支援動物として申請するのは簡単だが、本当にこの制度を必要としている人たちが犠牲になっていると同紙は書いている。記事によると、感情支援動物を航空会社に申請するには通常、セラピストの診断書が必要となる。しかしお金さえ払えば、ウェブサイトでそのような書面を発行してくれるサービスも存在するのだ。

WEBTHUMBNEW-peacock.jpg

クジャクは搭乗を認められなかった 2018年 Youtube

2018年のデルタ航空のデータでは、2016年と比べて動物がらみの問題(機内でふんやおしっこをしたり乗客に噛み付いたりなど)が84%増加したという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

スイス・スキーリゾートのバーで爆発、約40人死亡・

ワールド

台湾総統「26年は重要な年」、主権断固守り防衛力強

ワールド

再送トランプ氏、シカゴやLAなどから州兵撤退表明 

ビジネス

ビットコイン、2022年以来の年間下落 最高値更新
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 2
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 5
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    「断食」が細胞を救う...ファスティングの最大効果と…
  • 9
    日本人の「休むと迷惑」という罪悪感は、義務教育が…
  • 10
    米中関係は安定、日中関係は悪化...習近平政権の本当…
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中