最新記事

医療現場

大量のiPadが並んだ病院内の倉庫室の画像がツイッター上で波紋を呼ぶ

2020年12月9日(水)18時50分
松岡由希子

集中治療室での最期のお別れのためにiPadが備蓄される......   @roto_tudor/Twitter

<スタンドに装着された何十台ものタブレット端末「iPad」が並ぶ倉庫室の画像がツイッターに投稿され話題となった。知人の緩和ケア医が終末期患者のオンライン面会のために用意したものだという...... >

新型コロナウイルス感染症の世界的な流行拡大が続いている。なかでも米国では累計の感染者数が2020年12月8日時点で1516万人を超え、28万人以上が死亡した。カリフォルニア州では、感染者数の増加に伴って医療体制が逼迫していることから、住民に対して自宅待機命令が発令されている。

このようななか、米国のある病院内で撮影されたとみられる画像がツイッター上で拡散され、波紋を呼んでいる。

集中治療室の終末期患者とは、オンラインでの面会が一般的に

地方の医師だと名乗るユーザー「@roto_tudor」は、12月3日、スタンドに装着された何十台ものタブレット端末「iPad」が並ぶ倉庫室の画像をツイッターに投稿した。知人の緩和ケア医が終末期患者のオンライン面会のために用意したものだという。この投稿は2万9000回以上リツイートされ、9900件以上のツイートで引用されている。

無情にも、コロナ禍では、院内感染防止対策として対面での面会が厳しく制限され、集中治療室(ICU)の終末期患者とは、オンラインでの面会が一般的となりつつある。多くの人々が、愛する家族に直接、顔をあわせて最期の言葉をかけることもできずに、スクリーンを介して今生の別れを告げなければならないという状況に置かれているのだ。

集中治療室での最期のお別れのためにiPadが備蓄されるようになるとは......

この投稿には、悲しく痛ましい経験をしたユーザーから「私の恋人は、月曜日にiPad上で彼のお母さんとお別れしました。彼は最期にハグをすることも、お母さんの手を握ってあげることさえできませんでした」、「私も感謝祭の日に、同じような母親との別れを経験しました」といったコメントが寄せられている。

米ハーバード大学公衆衛生大学院の疫学者エリック・フェイグル・ディン博士は「集中治療室での最期のお別れのためにiPadが備蓄されるようになるとは、スティーブ・ジョブス氏も予測していなかっただろう」と述べ、医師でもある英オックスフォード大学のトリシャ・グリーンハル教授は「12年前、ビデオ診療を研究し始めたときに自分が思い描いていたものとは違う」と嘆く。

ファウチ所長「事態はより深刻になるかもしれない」

米国では、製薬大手ファイザーの新型コロナウイルスワクチンが近々承認される見通しとなるなど、有望な兆候もあるものの、感染拡大はしばらく続くとみられる。

米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長は、11月、感謝祭後の感染拡大に懸念を示していたが、クリスマスシーズンを間近に控え、「クリスマスシーズンは感謝祭よりも休暇が長いため、事態はより深刻になるかもしれない」と警鐘を鳴らしている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ和平案、ロシアは現実的なものなら検討=外

ワールド

ポーランドの新米基地、核の危険性高める=ロシア外務

ビジネス

英公的部門純借り入れ、10月は174億ポンド 予想

ワールド

印財閥アダニ、会長ら起訴で新たな危機 モディ政権に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「ワークライフバランス不要論」で炎上...若手起業家、9時〜23時勤務を当然と語り批判殺到
  • 4
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    クリミアでロシア黒海艦隊の司令官が「爆殺」、運転…
  • 8
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 9
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 10
    70代は「老いと闘う時期」、80代は「老いを受け入れ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶり…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中