最新記事

アメリカ経済

コロナ禍で米富裕層はますます豊かに 苦しい労働者が「逆支援」

Billionaires Have Gotten Almost $1 Trillion Richer During Pandemic

2020年11月20日(金)14時48分
ジェイソン・レモン

報告書に名前の挙がった企業や億万長者がさらに裕福になった一方で、何百万人ものアメリカ人が今も失業状態にあり、さらに大勢の人がパンデミックのなか無保険の状態にある。連邦議会は3月に、2兆2000億ドル規模の「コロナウイルス支援・救済・経済保障法」(CARES法)を超党派で可決したものの、その後の追加支援策については交渉が難航し、いまだ可決に至っていない。エコノミストやFRB(連邦準備理事会)のジェローム・パウエル議長は、適切な対策を取らなければ経済に長期的な悪影響が及ぶことになると警告し、議会に対して追加支援策の可決を促した。

民主党と共和党が交渉を続けている追加経済対策には、CARES法と同様、成人1人あたり1200ドルの現金給付を行う案が盛り込まれている。交渉が難航しているのが失業給付の特例加算で、民主党は週600ドルの特例加算(州による失業保険に連邦政府が週600ドルを上乗せする)を再度実施したい考えなのに対して、共和党側は加算金額を減額(あるいは撤廃)したい考えだ。

新型コロナウイルスは今も全米で感染拡大が続いており、1日あたりの新たな感染者数は平均で15万人を超えている。死者も25万人を突破して増加し続けるなか、部分的なロックダウンを再導入した州もある。さらに最新の雇用統計では、この数週間減少傾向にあった1週間の新規失業保険申請件数が、前週よりも増えた。

バイデン次期政権への期待

「新規失業保険申請件数が前週よりも3万1000件増えて、74万2000件に達しているのは心配だ」と、調査会社バンクレートの上級エコノミストであるマーク・ハムリックは本誌宛てのメールで述べた。「通常の失業保険プログラムの他にも、連邦政府のパンデミック失業保険プログラムへの申請件数が増えていることと合わせて考えると、新たな失業保険の申請件数は100万件を超える」

ドナルド・トランプ米大統領率いる現政府が、短期的にどのような対策を取っていくのかは分からないが、大統領選での勝利を確実にしたジョー・バイデンは大型の景気刺激策に支持を表明。民主党の進歩派議員たちも格差の拡大を強く非難し、富裕層への大幅な増税を呼びかけている。

「景気の底上げを図るには、最低賃金の引き上げや危険手当、有給の育児介護休暇など、エッセンシャル・ワーカーの保護、ほかにも社会保障のさらなる拡充などが必要だ」とコリンズは本誌に語った。「学生ローンの減免や初めて家を買う人への低金利ローンの提供なども、格差の是正に役立つだろう」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア凍結資産、ウクライナ支援に早急に利用=有志連

ワールド

米の対ロ制裁、プーチン氏にさらなる圧力=NATO事

ビジネス

米9月CPIは前年比3.0%上昇、利下げ観測継続 

ワールド

カナダ首相、米と貿易交渉再開の用意 問題広告は週明
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...装いの「ある点」めぐってネット騒然
  • 2
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 3
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月29日、ハーバード大教授「休暇はXデーの前に」
  • 4
    為替は先が読みにくい?「ドル以外」に目を向けると…
  • 5
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 6
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 9
    【ムカつく、落ち込む】感情に振り回されず、気楽に…
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 9
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 10
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中