最新記事

教育

急増する小学校での暴力の背景にある、幼児期の「母親との距離」

2020年11月12日(木)15時15分
舞田敏彦(教育社会学者)

近年、小1児童の学校生活への不適応「小1プロブレム」が問題になっている PetrBonek/iStock.

<小学校から始まる厳格な集団生活に馴染めない子どもが、2010年代に入って目立って増えている>

学校で荒れる子どもは、いつの時代も教師の悩みの種だ。2019年度の小・中・高校における暴力行為の発生件数は7万8787件となっている。学校がある日を10カ月(300日)とすると、全国で1日あたり263件も起きていることになる。

だが昔はもっとひどかった。全国的に校内暴力の嵐が吹き荒れたのは1980年代初頭、『3年B組金八先生』(TBS系列)が放映されていた頃だ。暴力行為は長期統計がないので変化を可視化できないが、当時に比べれば近年だいぶ沈静化しているのは確かだ。非行少年の数がピークの1983年と比べて4分の1に減っていることからも、それはうかがえる。よく言われるが、今の子どもは「大人しい」のだ。

だが最近の統計を見ていて気になることがある。<図1>は、近年の暴力行為発生件数の推移を校種別に見たものだ。

data201112-chart01.png

少し前は反抗期の中学生の暴力沙汰が際立って多く、次は高校生だった。しかし2013年に小学校が高校を上回り、2018年には中学校も抜いている。ここ数年、中高生の暴力行為は減っているが、小学生だけは増えていて、「暴力の低年齢化」としてメディアでも報じられた。

第2次反抗期の早期化により、高学年児童の暴力が増えていると思われるかもしれない。だが暴力行為の増加率が大きいのは低学年だ。<図1>によると小学生の暴力は2014年度から急増しているが、2014年度と2019年度を比べると、小学校2年生の暴力行為は5.0倍、1年生では6.6倍に増えている。相手に怪我をさせたケンカや、教室内の器物損壊などが多いとみられる。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

プーチン氏、習主席とオンライン会談 緊密な関係称賛

ビジネス

ユーロ圏総合PMI、1月改定値は51.3 4カ月ぶ

ビジネス

英サービスPMI、1月は54.0に上昇 昨年8月以

ワールド

経産省がM&A指針で誤解解消へ、「企業価値向上」を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 3
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れるアメリカ」に向き合う「日本の戦略」とは?
  • 4
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 5
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 6
    地球の近くで「第2の地球」が発見されたかも! その…
  • 7
    最長45日も潜伏か...世界が警戒する「ニパウイルス」…
  • 8
    アジアから消えるアメリカ...中国の威圧に沈黙し、同…
  • 9
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 10
    ICE射殺事件で見えたトランプ政権の「ほころび」――ア…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 5
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 6
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 7
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 8
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 9
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 10
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中