最新記事

米中関係

トランプが大統領選の結果にごねれば、笑うのは中国だ

TRUMP’S ELECTION GIFT TO CHINA?

2020年11月2日(月)18時15分
ミンシン・ペイ(本誌コラムニスト、クレアモント・マッケンナ大学教授)

民主党も共和党も、中国をアメリカにとって最大の脅威と見なしている。だが指導者の正統性を半数の国民が疑問視する状況の下では、中国との「新冷戦」は効果的に戦えない。国内の争いが激化すれば、中国に対する競争優位を保つために直ちに追加投資が必要な公衆衛生や教育、科学などの分野を強化することもできなくなる。

国際的には、非民主的手段で成立した2期目のトランプ政権は自由民主主義各国とアメリカとの溝を深めるはずだ。民主主義の衰退が進めば、米中の争いは独裁者同士の争いとなる。アメリカは自由主義の同盟諸国を引き込むのに苦労するだろう。

中国はバイデンの勝利を願っていたというのが、もっぱらの見方だ。バイデンが勝てば、中国が相手にする欧米諸国の結束は強まる。それでもバイデン政権のほうが出方の予想がつくし、気候変動などの分野では協力しやすい。

だが選挙結果に対してトランプがごねて、アメリカが分裂する事態のほうが、中国にとってはバイデン政権の誕生よりも魅力的かもしれない。

©Project Syndicate

<2020年11月10日号掲載>

【話題の記事】
中国はトランプ再選を願っている
菅首相は安倍首相に続き自滅か

ニューズウィーク日本版 日本時代劇の挑戦
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月9日号(12月2日発売)は「日本時代劇の挑戦」特集。『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』 ……世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』/岡田准一 ロングインタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、エヌビディアCEOと面会 輸出規制巡り

ビジネス

マイクロソフト、AI製品の売上成長目標引き下げとの

ワールド

モゲリーニ元EU外相、詐欺・汚職の容疑で欧州検察庁

ビジネス

NY外為市場=ユーロ、対ドルで約7週間ぶり高値 好
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 2
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 3
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させられる「イスラエルの良心」と「世界で最も倫理的な軍隊」への憂い
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 6
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 7
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 8
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 9
    トランプ王国テネシーに異変!? 下院補選で共和党が…
  • 10
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中